南シナ海問題 中国の専横を押さえ込め

主張

 南シナ海問題をめぐる議論が、国際法を無視して人工島の軍事化を進める中国のペースで運んでいる点を、厳しく認識しなければならない。東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の外相会議のことである。

 ASEAN外相会議は共同声明で、中国の行動を念頭に「懸念」を表明した。だが、その対象は「埋め立て」にすぎず、ベトナムが求めた「軍事化」は入らなかった。

 ASEANと中国の外相会議では、紛争回避を目指す2002年の「行動宣言」を、実効性のある「行動規範」に格上げする課題について、交渉の進行を確認するにとどまった。中国による時間稼ぎである。

 中国は岩礁を埋め立てて滑走路やレーダー施設を建設し、爆撃機の離着陸訓練を実施した。最新の映像では、人工島に低層ビルが並び、都市の様相を見せている。

 中国の王毅外相は「外部からの邪魔を排除できれば、行動規範の交渉は促進する」と述べた。ASEANとの交渉を理由に、日米などの関与を拒もうとしていることは理不尽極まりない。

 南シナ海は公海であり、日本を含む世界各国にとって重要なシーレーン(海上交通路)である。問題解決に「外部」も「内部」もなく、力による現状変更は国際社会として容認できない。

 政治、経済両面で支援を受けるカンボジアは、ASEAN内で中国の代弁者を務める。南シナ海をめぐる仲裁裁判に勝訴したフィリピンも経済支援を受けて沈黙した。ASEANを分断して、南シナ海支配を固めたいのだろう。

 だが、欧州を含む各国から、南シナ海での中国の身勝手な振る舞いに非難の声が上がり始めたことは注目に値する。

 先月、米豪両国は外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の共同声明で中国の軍事拠点化を批判した。インド太平洋に海外領土を持つフランスも、日本と包括的に海洋問題を話し合う枠組みの設置で合意した。軍事化阻止に向け、幅広い連携を構築すべきだ。

 ASEANの一連の外相会議のうち、東アジアサミット(EAS)、ASEAN地域フォーラム(ARF)には、中国とASEANの他、日米豪などが顔をそろえる。航行の自由を守るために協力し、中国から議論の主導権を取り戻さなければならない。