【主張】陸上イージス 国民を守る上で不可欠だ - 産経ニュース

【主張】陸上イージス 国民を守る上で不可欠だ

ルーマニアに設置されたイージス・アショアの施設=2016年5月(ロイター)
 日本をとりまく安全保障環境を考えれば、弾道ミサイルや巡航ミサイルの脅威が消え失(う)せることは当面考えられない。飛来するミサイルに核兵器や化学兵器が仕込まれていれば大惨事となる。
 外交努力と並行し、最悪の事態を見据え、国民を守る手立てを講じるのが防衛政策の基本である。そこで政府は秋田、山口両県に地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(陸上イージス)を作る計画を進めている。
 ところが米朝首脳会談後の「偽りの緊張緩和」を鵜呑(うの)みにして、導入にブレーキをかける議論が出てきた。だが、実態はどうか。
 北朝鮮は、核・ミサイルを放棄していない。今、表面上はおとなしく振る舞っているが、米朝交渉の行方次第で強硬姿勢に戻る恐れはある。米紙ワシントン・ポストは、米当局者の話として、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を製造している兆しがあると報じた。
 小野寺五典防衛相は陸上イージスで「弾道ミサイル防衛能力が飛躍的に向上する」と語った。東西2カ所で陸上自衛隊が運用することで、日本全域を24時間365日守り抜く態勢が初めて整う。
 陸上イージスの新型レーダーの探知距離は、海自イージス艦と比べ倍以上の千数百キロとなる。専守防衛の日本や同盟国米国にとって、北朝鮮や中露の動向を探る上で極めて有用だ。
 現状の態勢の弱点を埋めるものでもある。海上自衛隊のイージス艦は乗組員の休養や訓練、艦船の整備のため港に帰らざるを得ず、切れ目のない防衛は難しい。航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)は拠点防空用で日本全域を守る装備ではない。
 北朝鮮だけではない。中露両国は核搭載可能な弾道ミサイル、巡航ミサイルを多数保有している。陸上イージスの能力を高めていき備えるのも当然といえる。
 費用の増大が指摘されている。取得費は2679億円だが、運用、教育費などを含め30年間で4664億円かかる。弾(迎撃ミサイル)の調達を合わせ6千億円を超える見通しだ。
 一方で、新型イージス艦2隻の30年間の運用費は7千億円である。陸上イージスが突出しているとはいえない。決して安くはないが、国民の安全を重視する観点から、導入を急ぐべきである。