自治体改革 人口減に耐える新制度を

主張

 高齢者数がピークを迎える2040年頃になっても、行政サービスを滞りなく提供し続けるにはどうすべきか。

 総務省の有識者研究会が人口減少社会をにらんだ自治体の在り方について報告書をまとめた。

 人口や面積に関係なく、個々の市町村が全分野の施策を手掛ける「フルセット主義」からの脱却を求めた。都道府県と市町村の2層構造を改め、都道府県が柔軟に小規模市町村の機能を補う必要性にも踏み込んだ。

 その上で、複数の市町村で構成する「圏域」を行政主体として制度化することを打ち出した。都道府県や市町村とは異なる実質的な「第3の自治体」構想だ。

 少子高齢化が進めば、税収は落ち込み、自治体職員の確保が難しくなる。職員が半数になることも見越さなければならない。報告書の提言は一考に値しよう。

 これを受けて、首相の諮問機関である地方制度調査会が検討を始めた。報告書の課題や問題点も含め、人口減少に耐えうる地方自治の新たな形を示すべく積極的な議論を期待したい。

 現行でも自治体連携の枠組みは存在する。だが、多くは図書館の相互利用など無難な協力にとどまっている。「圏域」を制度化するのは、利害がぶつかる難題への対応のためだ。

 これに対し、既存自治体などからは「小規模自治体の衰退が加速する」「国による押しつけであり、地方自治に反する」といった批判が出ている。

 6月の山形県庄内町議選では、立候補者が定数を下回った。手をこまねいていても行き詰まる。

 むろん、枠組みを広げるだけでは不十分だ。

 職員数が半減しても地方自治が機能するには、情報システムや事務作業を標準化することはもとより、人工知能(AI)などを使った大胆な業務の効率化が不可欠となる。

 さらに一歩進めて、人口減少時代に自治体が担うべき業務の範囲を規定し直し、仕事量自体を減らすことも求めたい。

 住民の協力を求める努力も重要だ。人口減少が進んだ地域では、住民組織が行政機能の一部を肩代わりする事例もみられる。

 人口減少はあらゆる分野で改革を迫る。過去の常識にとらわれているときではない。