【主張】文科省汚職で起訴 裏口入学の全容解明急げ - 産経ニュース

【主張】文科省汚職で起訴 裏口入学の全容解明急げ

 私立大の支援事業をめぐる汚職事件で、文部科学省の前局長が受託収賄罪で起訴された。
 賄賂は前局長の息子の不正入学とされ、贈賄罪で東京医科大の前理事長と前学長が在宅のまま起訴された。
 公正な入試を歪(ゆが)め、教育行政への信頼を二重三重にも失墜させた。起訴を節目に、大学トップが主導した裏口入学の全容解明が急務だ。疑惑を残したままの幕引きでは、信頼回復も不正防止も望めまい。
 起訴状などによると、容疑は前科学技術・学術政策局長の佐野太被告が官房長だった昨年5月のことである。
 東京都内の飲食店で大学理事長だった臼井正彦被告から、文科省の助成事業の対象に選ばれるよう申請書の書き方を助言してほしいなどと依頼された。その謝礼と知りながら、今年2月の入試で息子を合格させてもらったという。
 前局長は容疑を否認しているが、東京医科大側との面会の場で「息子が一番行きたい大学」などと発言した録音データが残っているという。臼井被告と前学長の鈴木衛被告は今月6日付で大学を辞職した。
 東京医科大の入試は、ペーパーテストによる1次試験の通過者が、面接や小論文などの2次試験を受け合否が決まる。
 前局長の息子の不正入学では、理事長と学長職にあった2人が、入試担当の課長に、1次試験の加点を指示していた疑いがある。
 入試の公正は教育の信頼に直結する。各大学が何重にも不正防止策を取る中、同大のモラルと法令順守はどうなっていたのか。
 東京医科大では過去に裏口入学リストがつくられ、2次試験の小論文などで点数操作が行われていたなど具体的証言も出ている。
 大学側は内部調査の報告書を8月上旬にまとめる見通しだというが、徹底調査してもらいたい。この疑惑を抱えて、来年の入試もできまい。
 大学無償化など多額の公費を投じる政策が検討される中、官房長の要職にあった者の不祥事である。文科省では中堅の職員ら有志が組織立て直しに向けた改革案を事務次官に提出した。
 遅きに失したが、事態の収拾に汲々(きゅうきゅう)とせず、汚職を生んだ背景や私大との関係を含めて検証すべきだ。文科省の存在自体が問われている。