「満足中の満足だ」 厳しい視察で知られる金正恩氏も太鼓判 北朝鮮製化粧品、経済再生の牽引役期待も現実は…

ソウルからヨボセヨ
朝鮮中央通信が1日報じた、北西部新義州の化粧品工場を視察し、笑みを浮かべる金正恩朝鮮労働党委員長と、李雪主夫人。撮影日時は不明(朝鮮通信=共同)

 最近、北朝鮮北部地方を視察し、幹部らを叱り飛ばす姿が報じられている金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長だが、「満足中の大満足だ」と手放しで評価した視察先もある。中国との国境に位置する新義州(シニジュ)の化粧品工場だ。李雪主(リ・ソルジュ)夫人らと訪ね、「春の香り」というブランド名のこの工場の製品を専門に扱うショップを平壌につくることも約束した。

 化粧品への正恩氏の関心は今に始まったわけではない。2015年に平壌の工場を訪れた際は「外国製マスカラは水に入っても落ちないが、国産はあくびをしただけでタヌキの目になる」と品質向上にハッパを掛けた。新義州の工場は金日成(イルソン)主席が1949年に建設させたもので、3代にわたって情熱を注いできた。

 正恩氏の視察報道を見て記者が90年代初期に中国を旅したときのことを思い出した。化粧品や洗剤の看板をやたらに目にしたのだ。「そんなに売れるの?」と疑っていたが、中国は今や世界2位の経済大国だ。女性の消費欲こそが経済発展の牽引(けんいん)役なのだろう。

 経済再建に取り組む正恩氏も十分理解した上でのアピールのようだ。ただ、新義州の対岸、中国・丹東を訪れる若い北朝鮮女性は大型卸売店で化粧品を大量に買い込むという。北朝鮮産化粧品が彼女らの心をつかむにはまだまだハードルがありそうだ。(桜井紀雄)