【主張】国会閉会 機能する組織へ改革急げ 半年間何をやっていたのか - 産経ニュース

【主張】国会閉会 機能する組織へ改革急げ 半年間何をやっていたのか

 日本再生の鍵として「生産性」の言葉が多用される。通常国会で関連法が成立した働き方改革にも、人口減少社会で労働生産性を上げる狙いがあった。
 はたして、1カ月の延長を含め約半年の会期を終え閉幕した国会に、その生産性を見いだせただろうか。むしろ、非生産的な姿を改めて目の当たりにした印象だ。
 主たる要因は、野党側が延々と「森友・加計」学園問題を取り上げたことだ。政府に行為の違法性や致命的欠陥を突き付け、政策決定を撤回させる成果を挙げることはないままに終わった。野党の無策ぶりは批判されよう。
 ≪危機を軽視する愚かさ≫
 だが、それですまされない問題がある。低調な議論に時間を費やし、他の重要案件をやり過ごしていれば、いつかこの国を危うくしかねないことである。国会がより機能し、国民の負託に真に応えるための改革が急がれる。
 北朝鮮核問題の帰趨(きすう)は、いうまでもなく日本の生存を左右する。急遽(きゅうきょ)、浮上した米朝首脳会談は、日本に脅威を与え続ける核・ミサイルがどうなるかを決する意味合いがあった。
 そこに至るまでの間やその後において、国会でどれほどの時間をこの問題に費やしただろう。
 それにとどまらず、トランプ米政権下で日米同盟は変質を迫られるのか。保護主義に基づき米国が高関税など一方的な措置を連発する事態を受け、自由貿易をいかに堅持していくか。
 これらについては、政権与党内でも政高党低の傾向が強まるなかで、充実した議論を欠くきらいがある。だからこそ国会での論戦は極めて重要だ。その意識が与野党ともに薄いことを危惧する。
 決め手のない「モリ・カケ」問答には醜悪な副産物があった。前国税庁長官らの虚偽答弁や財務省による決裁文書改竄(かいざん)が判明したことである。
 官僚たちが、都合の悪い話については平気で国会に対して嘘をつく。つじつまの合わない文書は書き換える。それをうのみにせざるを得なかった立法府にとって、存在意義を失うようなスキャンダルである。さすがに自民党からも「財務省は許せない」「徹底解明を」と一時は声が上がった。
 だが結局、この事態を検証する機関が国会に設けられることはなかった。安倍晋三首相は「行政のトップ」の責任を繰り返したが、議会人としてどう考えるのか。
 大島理森衆院議長は、立法府として体面を失った問題を「時効」とはせず、引き続き検証方法を模索してもらいたい。
 生産性の低さを露呈した国会で、改革を目指す現象がまったく見られなかったわけではない。なかでも、毎国会で終盤まで放置され、申し訳程度に開催されることの多い党首討論のあり方をめぐり、さまざまな意見が出た。
 ≪見直しは「ふり」だけか≫
 党首討論を夜に開く、開催時間を長くするなどのアイデアは一考に値しよう。だが、つまらない見せ物をゴールデンタイムに提供されても、国民は迷惑である。
 その日は早く帰宅して中継を楽しみに待つような、内容の濃い討論が行われるか否かが問題だ。
 その点、野党側の改革案は、首相への質問がもっぱらで、自ら答える想定が足りないようだ。およそ政権担当能力を示す自信も気概もない、しろものといえよう。
 党利党略、参院の私物化などの指摘を受けた「参院6増」の改正公選法は、この国会の大きな汚点というべきものだ。自民党はあれだけ嫌った「合区」を残し、あぶれた議員を比例代表で救済する策に転じた。
 これに前後して、党派を超えて「衆院改革」を目指す100人を超す規模の議員集団ができた。メンバーたちは、改正公選法を是認し、成立についても織り込み済みだったのだろうか。だとすれば、改革への熱意も大幅に割り引いてみなければなるまい。
 延長会期内で発生した西日本豪雨に対し、国会がどれだけ機動的に動けたかという課題も残る。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法の審議のため、災害対応の先頭に立っているべき時期に、石井啓一国土交通相が国会に出席していた姿にも違和感は否めなかった。
 法案審議と閣僚出席のあり方、政策の優先順位が厳しく問われる事例だったといえよう。