都の受動喫煙対策 「厳格化」の一歩としたい

主張

 他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が参院厚生労働委員会で可決し、今国会で成立する見通しだ。

 改正法案は、飲食業界に配慮した自民党の抵抗で、客席面積100平方メートル以下で個人経営や中小企業の既存店舗に例外が設けられた。対象店舗は半分にも満たず、これでは国民の健康を守る対策とはいえまい。

 対して東京都は6月、独自条例を制定した。従業員を雇う飲食店を原則禁煙とし、喫煙客用専用室の設置を義務づけるなど、改正法案より踏み込んだ内容となっている。東京五輪が開催される2020年度の全面施行に向け、段階的に進めるという。

 都内にある飲食店の約84%が規制の対象となる。

 「厳しすぎる」との批判もあるが、受動喫煙は肺がんや脳卒中、乳幼児突然死症候群などのリスクを高め、年間1万5千人が亡くなっているとの推計もある。こうした現状を放置するわけにはいかない。都条例を「厳格な分煙」への一歩とすべきだろう。

 都条例にも課題はある。例えば経営者と同居する家族は従業員と見なされない。小中学校、高校は屋外も禁煙とするが、大学や病院、行政機関の屋外喫煙場所は認めている。健康被害対策として、十分とはいえない。

 条例の実効性を上げるためには店舗への指導や立ち入り検査が不可欠となる。必要な態勢強化も急がなくてはならない。

 区市町村によっては、すでに屋外での喫煙を禁じているところもある。原則屋内禁煙の都条例と整合性はとれるのか。喫煙者をただ閉め出すのでは混乱が生じるだけだ。目的は「分煙の厳格化」であり「禁煙の推進」ではない。

 都は屋外の公衆喫煙所の設置費用について区市町村の整備を補助する考えだが、小池百合子都知事には、たばこを吸う人の権利も考慮してほしい。

 中小の飲食店には経営への打撃を不安視する声が広がっている。専用室設置の助成にとどまらず、実情に応じた追加の支援策も必要となろう。

 多くの人が集まる場所を全面禁煙にしている国も少なくない。

 喫煙者と非喫煙者がともに気持ちよく暮らせる社会をどう実現していくか。さらなる検討を重ねる必要がある。