【主張】高齢者の負担 使いやすい仕組み考慮を - 産経ニュース

【主張】高齢者の負担 使いやすい仕組み考慮を

 高齢者に分かりやすく使いやすい仕組みにするという視点があまりにも欠けていないか。
 一定の所得がある高齢者の医療や介護の負担が今年8月から引き上げられる。超高齢社会を迎えて社会保障制度は利用者にとって使いやすいものでなければならない。
 所得に応じた負担を求める方向性は正しい。制度の持続可能性にも寄与する。すでに高齢者の3分の1が80歳以上である。働ける世代は今後も減り続ける。所得のある高齢者には応分の負担をお願いしなければなるまい。
 だが仕組みが難しすぎる。こんな分かりにくい制度では理解も得られない。厚生労働省は手続きの簡素化も含めて社会保障制度を作る責任があると認識すべきだ。
 8月から、介護サービスの利用に3割負担が導入される。これまでは2割負担が最大だった。利用料が1・5倍になるのかと不安に思う人もいるかもしれない。
 必ずしもそうではない。月々の介護の負担には上限がある。世帯で4万4400円を超えると、超過した額が払い戻される。市区町村が対象者に注意喚起し、手続きを促している。
 医療にも同じような仕組みがある。70歳以上で、比較的所得の高い世帯に設けられている月々の負担の上限が、8月から引き上げられる。
 制度改正の際には医療は医療、介護は介護でバラバラに議論して負担増を決めるべきではない、という指摘もあった。夫は医療サービスを、妻は介護サービスを使う世帯もある。夫婦のありようはさまざまで、年齢差もあれば、事情もある。制度を横断し、目配りする仕組みが欠かせない。
 医療と介護を横断し、世帯の費用を軽減する仕組みは今もあるのだが、制度が複雑である。市区町村の職員からさえ「難しすぎる」「使われていないのではないか」といった声が聞かれる。
 医療保険と介護保険は運営主体が違うから、注意喚起も徹底しない。高齢者が自分で気づいて申請するという発想自体に無理がある。使われない仕組みは、ないも同然である。
 健康保険や介護保険の社会保障分野では、今年からマイナンバーの利用が本格化している。フルに活用し、利用者が不自由なく使える仕組み作りを、真剣に考えるべきである。