【産経抄】7月14日 - 産経ニュース

【産経抄】7月14日

 「細川護煕政権が発足して首相官邸が自分のものになった気がしたよ」。一昨年4月に亡くなった連合の初代会長、山岸章さんはかつて小紙インタビューで、自らが生みの親の一人である細川政権についてこう回想している。ただし、高揚感はわずか1カ月後には失望に変わった。
 ▼山岸さんは、やはり連合が政権樹立の立役者となった民主党政権に対しても辛辣(しんらつ)だった。「理想論ばかりで政権担当能力がなく、国民に失望を与えただけだった。あんな政権ならとらない方がよかった」。率直にして明快な感想である。
 ▼加盟組合員数約700万人の日本最大の労組団体、連合が迷走している。民主党が民進党となり、さらに希望の党による「排除」を経て立憲民主党と国民民主党などに分裂したため、傘下の産別労組の支持政党も股裂き状態となった。これでは、3度目の政権奪取どころではない。
 ▼平成24年の第2次安倍晋三内閣発足以降は、肝心の賃上げも、首相官邸が直接経済界に要請する「官製春闘」が主導している。連合が政治活動に多大なカネと組合員の労力を費やし、特定政党に肩入れすることにどんな意味があるのか。組合員は本当にそれに納得しているのか。
 ▼連合傘下の電機連合が12日公表したアンケート(約1万8千人回答)では、昨年10月の衆院選での組合員の投票先は小選挙区、比例代表ともに自民党がトップだった。組合執行部が上から支持政党を決めても、組合員は生活感覚で投票先を選ぶものなのだろう。
 ▼このまま惰性で「政治ごっこ」を続け、特定政党・議員を延命させることに、何か展望があるようにはとても見えない。山岸さんが味わった幻滅を繰り返さないためにも、政治から距離を置いてはいかがか。