【主張】公選法改正案 参院無用論を広げるのか - 産経ニュース

【主張】公選法改正案 参院無用論を広げるのか

 参院定数を6増とし、比例代表に一部特定枠を設ける、自民党提出の公職選挙法改正案が参院本会議で、与党などの賛成多数で可決された。
 日本の人口が否(いや)応なく急速に減る時代の流れを踏まえず、国会議員だけはお手盛りの定数増を図ろうという案である。
 与党は国会会期末の22日までに衆院本会議で成立させる方針というが、頭を冷やしたらどうか。国会閉会後も与野党で協議を続け、秋に想定される臨時国会で、もっとましな内容の改正案を成立させるべきだ。
 参院を通過した改正案は、選挙区の「一票の格差」を3倍以内に収めるため、埼玉選挙区を2増とする。さらに、一票の格差是正とは直接関係ないが、比例代表を4増とし、届け出た順位で優先的に当選を決める拘束名簿式の「特定枠」の制度を導入する。
 参院ができた昭和22年以来、定数を増やすのは、沖縄返還に備えた45年の2増を除けばこれが初めてとなる。
 人口減少に対応し、地方議会が定数減を進めていることを忘れてもらっては困る。範を示すべき参院が安易に定数増に走るのでは、「良識の府」を自任することをやめたほうがいい。
 特定枠の導入も疑問がある。比例代表の改選数50よりも1少ない人数まで特定枠にできる。比例代表が、順位をつけない非拘束名簿式なのか、拘束名簿式なのか、制度の趣旨さえ分からなくなる。
 定数を増やしても参院経費が膨らまないよう求める、公明提案の付帯決議がなされた。「身を切る改革」という言葉を覚えているのなら、少なくとも議員報酬などの削減案を同時に通すべきだ。
 参院政治倫理・選挙制度特別委員会は11日、野党の3改正案の採決を見送った。
 国民民主党が提出した「埼玉選挙区2増・比例代表2減」▽立憲民主党、希望の党の「埼玉2増・石川、福井合区による2減」▽日本維新の会の「総定数24減」の各案である。いずれも、参院を通過した改正案よりましである。
 今国会は、どのような憲法改正を実現すべきかという本質的議論が行われなかった。北朝鮮情勢をめぐり安全保障論議が深まることもなかった。国会の責任を果たさず、参院議員をお手盛りで増やそうとしている。厚顔無恥な対応は参院無用論を広げるだけだ。