【主張】西日本豪雨 救命と支援に総力あげよ 東北の経験と知恵を被災地に - 産経ニュース

【主張】西日本豪雨 救命と支援に総力あげよ 東北の経験と知恵を被災地に

 広島、愛媛、岡山を中心に西日本の広域を襲った記録的豪雨による死者は、100人を超えた。
 時間の経過とともに死者は増え続け、安否の確認がとれない人の数も大幅に増えた。豪雨はおさまっても、被害拡大の恐れ、被災地の混乱状況は続いている。
 孤立した集落、泥流や土砂に埋もれた家屋には、連絡手段もなく救助を待つ人が残されている可能性がある。
 自衛隊、警察、消防と国、自治体は緊密に連携し、助かる可能性がある人たちの救助、救出に全力を尽くしてもらいたい。
 ≪水の供給確保が急務だ≫
 救助されて避難所で生活する被災者、自宅の被災を免れた人たちも極めて厳しい状況に置かれている。水、食料、支援物資の供給を急がなければならない。
 特に心配なのは水不足である。
 豪雨をもたらした梅雨前線にかわって、被災地は太平洋高気圧に覆われる。これから数日は「梅雨明け十日」と呼ばれる晴天が続く見込みで、強烈な日差しと気温上昇が予想されている。
 広島、岡山などの瀬戸内沿岸地域はもともと、年間降水量が少なく水不足に陥りやすい地域でもある。今回の水害で、水源の川が氾濫し、断水になった地域が多くあり、被災地全域が深刻な水不足に陥りかねない。
 避難所のなかには、冷房などの空調設備が十分ではない施設もあるだろう。飲料水、生活用水を節約しなければならない状況下では、乳幼児や高齢者に限らず、猛暑に耐えられない人が続出する恐れがある。
 水不足はトイレ、炊事など生活環境の悪化にも直結する。それも含め不自由な生活の長期化は避けられない。
 泥流と土砂から逃れた人たちのなかから、関連死の犠牲者を出してはならない。
 当面の最重要課題は断水地域を重点とした被災地全域への飲料水、生活用水の供給である。国と自治体は、万策をもって「命の水」の確保と安定供給に当たってもらいたい。
 今回の西日本豪雨は、降り始めからの期間が長く、集中豪雨としては異例ともいえる広い範囲に甚大な被害が及んだ。
 台風7号が九州に接近した今月3日ごろから、土砂崩れや河川の増水が各地で発生した。
 気象庁が8府県に大雨の特別警報を出した6日からは九州から中四国、近畿、東海、北陸まで梅雨前線沿いの強雨域に覆われた。
 この強雨域のなかに、長時間激しい雨を降らせる「線状降水帯」が同時多発的に発生し、広島や愛媛、岡山を中心とする各地が数十年に一度、あるいはそれを超える猛烈な豪雨に襲われたのだ。
 ≪警戒と備えの強化を≫
 泥流と土砂に埋まった被災地の惨状は「空から津波に襲われたか」と思わせる。東日本大震災に匹敵する広域災害ととらえ、当面の救命救助、被災者支援とともに長期的な復旧、復興にも取り組まなければならない。
 水の猛威による災害からの復旧には、相当の時間を要することを覚悟しなければならない。被災者が必要とする支援は、時間の経過とともに変わっていく。
 被災者の医療のほか、心のケア、ライフラインの復旧、住宅の確保と再建などいくつもの課題に並行して取り組んでいかなければならない。
 自治体と国、そして国民一人一人がニーズを先取りし、被災者の命を守り、生活を支えたい。
 津波と豪雨の違いはあるが、過去の災害の中でも特に、東日本大震災の経験と教訓が、今回の西日本豪雨には生かせるのではないだろうか。
 被災者が何を必要とするのか、自治体にはどのような対応が求められるのか。
 震災からの7年4カ月間に積み重ねてきた経験と知恵を生かせるよう、東北の人たちと自治体に協力をお願いしたい。
 日本列島は、毎年のように甚大な被害をもたらす豪雨災害に襲われる。西日本の被災地を含め列島全域は、集中豪雨や台風災害の発生しやすい時期がこの夏から秋まで続くことを、改めて心に刻む必要がある。
 今回の豪雨で、土砂崩れ、河川の氾濫や堤防の決壊が起きやすくなった地域、河川は多い。警戒と備えを強めなければならない。