【主張】女児殺害に無期 裁判員の守秘義務緩和を - 産経ニュース

【主張】女児殺害に無期 裁判員の守秘義務緩和を

 裁判員制度は施行から9年を経て、おおむね順調に機能している。
 一方で、制度導入当初から懸念があった裁判員に課せられた評議内容に関する厳しい守秘義務については、改善がみられない。制度をより国民にとって身近なものとするためにも、守秘義務の緩和を求めたい。
 この裁判でも、評議の中身をもっと詳細に知りたい。
 千葉県松戸市の9歳女児、レェ・ティ・ニャット・リンさんが殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた渋谷恭正被告の裁判員裁判の判決公判があり、千葉地裁の野原俊郎裁判長は無期懲役を言い渡した。
 検察側は「被害者が1人でも死刑回避の理由にはならない」などとして死刑を求刑し、弁護側は全面的に無罪を主張していた。
 判決は量刑理由について、「裁判の公平性の確保にも十分に意を払う必要がある」とし、同種事件の量刑傾向などに照らすと、「死刑を選択することが真にやむを得ないとまでは認められない」と結論づけた。
 裁判員裁判で殺害された被害者が1人の事件に死刑判決が言い渡された事例は過去に4例あるが、高裁では被告が控訴を取り下げて確定した1件を除いていずれも無期懲役に減刑されている。
 最高裁は平成27年2月、裁判員裁判の死刑判決を破棄した2件の高裁判決を支持した際に、いずれも被害者が1人であることなどを減刑の理由とし、「判例の集積からうかがわれる検討結果を量刑を決める共通認識とし、それを出発点として評議を進めるべきだ」とする補足意見があった。
 千葉地裁の判断も、これと同様のものだろう。
 だが裁判員制度は、国民の司法参加により、その日常感覚や常識を判決に反映させることを目的に導入されたはずである。裁判員の判断が過去の集積の範囲にとどまらないのであれば、判例が国民の常識と乖離(かいり)していたともいえるのではないか。
 裁判員裁判は6人の裁判員と3人の裁判官が合議し、多数決で量刑などを決める。最低1人の裁判官の賛成も必要とする。相次いだ高裁の破棄や最高裁の判断が1審裁判官に過剰な影響を与えていないか。6人の裁判員は何を主張したのか。そうした検証材料を提供してほしいのだ。