【主張】国民投票法先送り 与野党は責任放棄するな - 産経ニュース

【主張】国民投票法先送り 与野党は責任放棄するな

 自民、公明両党が、憲法改正の国民投票に関する規定を公職選挙法に合わせる国民投票法改正案の今国会成立を断念した。継続審議とし、秋に想定される臨時国会での成立を目指すという。
 極めて残念な判断だ。与党は、改正案を共同提出した日本維新の会、希望の党と協力して、今国会での成立へ翻意してほしい。
 受け入れがたいのは、改正案の内容には反対していない立憲民主党などが、森友、加計学園問題の解明を優先すべきだなどとして、今国会成立に応じていないことである。憲法問題を政争に利用しようというのか。
 衆院憲法審査会では5日、改正案の提案理由説明が行われたが、実質審議は見送られた。自民は幹事会で、12日の審議を提案したが立憲民主は応じなかった。
 改正案は、駅や商業施設への「共通投票所」の設置や、水産高校の実習生に洋上投票を認めるなど7項目だ。平成28年の公選法改正を今ごろ反映させること自体遅すぎるのに、なお遅らせようというのだからあきれてしまう。
 主権者国民にとって国民投票は、憲法上の重要な権利だ。投票しやすい制度を整えていつでも使えるようにしておくことは国会の当たり前の役割である。与野党が怠ることは許されない。
 国民投票法の改正が遅れれば、衆参の憲法審査会での改憲論議の開始はそれだけ先送りされる。
 立憲民主や国民民主党は憲法改正論議自体を否定していないと主張するが、その実態は、国民投票法改正を先送りさせて憲法改正論議を妨げるものだ。
 政府・与党の姿勢も問題である。参院選挙制度改革案やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案などの成立を優先させる方針だ。そのために与党の参院側が、日程上成立は困難だとして国民投票法改正案の審議に後ろ向きだ。
 いったい何のために、国会の会期を延長したのか。政府・与党は国民投票法を重要法案に含めていなかったのか。
 憲法改正は、中国の台頭や朝鮮半島情勢の激変、少子高齢化などめまぐるしく変わる日本と世界の構造的な変化に対応するためにも必要だ。その前提となる国民投票法改正さえ先送りして平然としているのは、与野党の危機意識の欠如を示している。