【主張】文科省局長を逮捕 これでも教育の「本丸」か - 産経ニュース

【主張】文科省局長を逮捕 これでも教育の「本丸」か

 これが教育をつかさどる官僚のすることなのか。驚き、あきれ返るしかない。
 文部科学省の局長が、受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。あろうことか、その地位を利用し、国の支援事業で便宜を図り、私立医大に自分の息子を合格させていたという。
 あまりに古典的で、あからさまな不正の手口である。汚職を生んだ背景を含め、徹底的に解明してもらいたい。
 逮捕されたのは、文科省の科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者だ。国立大の副学長や同省会計課長などを歴任した次官候補の一人である。官房長を務めていた昨年5月、大学関係者から東京医科大を支援事業の対象校に選定するよう依頼され、この見返りに今年2月の同医大の入試で息子の点数を加算し、合格させてもらったことが賄賂にあたるとされた。
 受託収賄罪は、職務について具体的な請託を受けた場合などに適用される。汚職の悪質性が高く、単純収賄罪より法定刑が重い。
 佐野容疑者が大学側に図った便宜も、受けた見返りも、教育行政の信頼を根本から失わせるものである。文科省は、その存在意義が問われる重大な危機として深刻に受け止めなくてはならない。
 私大への補助金は国民の税金である。これを投じる上で、対象校の選定などが特定職員の意向で行われる余地はないか。改めて透明性に疑問を持つ。
 東京医科大は「捜査を受けていることは事実で、厳粛に受け止めている」などとコメントを出したが、医大人気が高い中での不正である。入試全体への信頼も大いに損なうことになる。各大学とも入試で不正が起きないよう、十分に対策をとっているはずだ。点数が水増しされた経緯など、贈賄側の調べも徹底してほしい。
 文科省では昨年、大学などへの組織的な天下りの斡旋(あっせん)が発覚したばかりだ。当時の前川喜平事務次官が辞任し、40人以上が処分を受けた。佐野容疑者は官房長として、綱紀粛正を進める責任者だった。一方で不正に手を染めたのであれば、その神経を疑う。
 少子化で受験人口が急減する「2018年問題」に直面し、大学の経営環境は厳しい。そこに文科省と私大との癒着が生まれる温床はないか。捜査にとどまらぬ検証を徹底すべきである。