【産経抄】7月4日 - 産経ニュース

【産経抄】7月4日

 サッカーワールドカップ(W杯)の現在の優勝トロフィーは、3代目である。初代は、ギリシャ神話の勝利の女神、背中に大きな翼をもつニケ(Nike)が、杯を支えるデザインだった。
 ▼頭部を欠きながらも、優美な姿をとどめる大石像は、ルーブル美術館の至宝である。オリンピックの金銀銅のメダルにも描かれてきた。ナイキと読めば、世界的スポーツ用品メーカーの社名になる。
 ▼昨日のW杯決勝トーナメント1回戦、日本がベルギーに逆転負けを喫した試合は、本当に惜しかった。死闘を繰り広げる両チームのどちらに舞い降りるのか。女神ニケが迷いに迷った結果であろう。日本の戦いぶりは、決勝トーナメント入りを決めた対ポーランド戦と比べて見違えるようだった。
 ▼1点リードを許しながらも、時間稼ぎをするばかり。16強入りを優先した西野朗監督の採用した戦術は、試合会場でブーイングを浴び、日本国内でも大きな議論を呼んだ。昨日の日本は2点を先取しても満足せず、攻撃の手を休めない。「赤い悪魔」の異名をもつベルギーは、そんな日本のわずかなスキを見逃さなかった。8強入りを逃したとはいえ、日本は世界ランキング3位の優勝候補のチームに真っ向勝負を挑んだ。その雄姿に、批判の声が上がるはずはない。
 ▼W杯の日本の初戦となった対コロンビア戦は先月19日、日本時間の午後9時から始まった。「その日はずっと閑古鳥が鳴いてましたよ」。行きつけの居酒屋の主人がぼやいていた。昨日の午前3時開始の試合の影響はどうだったろう。生中継の平均視聴率が30%を超えたというから、驚きである。
 ▼4年後の女神ニケの降臨を祈りつつ、残念会で一杯やりたいところだったが、もう眠くて仕方がない。