日本代表敗退 このサッカーに胸を張れ

主張

 ロシアで開催中のワールドカップ(W杯)で日本代表は悲願の8強に進出できず、敗退した。

 世界ランク3位のベルギーに2点を先行しながら、逆転された。世界に「怪物」と恐れられるFWルカクが、日本の吉田麻也に抱きついて肩を震わせていた。それほどの激闘だった。

 最終盤の逆転は悔しいが、同時に多くの示唆に富む、価値や未来を見いだすことができる敗戦だった。4年前のブラジル大会では涙で声を詰まらせた長友佑都(ゆうと)は「全て出し尽くしたので、笑顔で胸を張って帰ります」と述べた。

 そう。選手もファンも、このサッカーに胸を張っていい。

 「国際スポーツでは、よく国民の本性が現れる」と述べたのは1949年、競泳の全米選手権で世界記録を連発した古橋広之進の帰国を迎えたマッカーサー元帥の言葉だ。中でもサッカーのW杯は、国民性の衝突といわれる。

 今大会の日本代表は格上の強豪ばかりとの連戦に、大会の潮流でもある超守備的な戦術を排し、真っ向勝負を挑んで互角以上のゲームを展開した。

 大会直前には上意下達を徹底したハリルホジッチ前監督が解任され、西野朗監督が就任した。どん底の状態にあったチームに劇的変化を求め、西野監督は経験値に富むベテラン選手らとの対話を重ねた。そうして選択したのが、組織的にボールを保持し続けて攻め抜くという攻撃的な戦術だった。

 日本は世界と互角に戦える。選手の信念をくみ上げ、W杯という真剣勝負の場で実現させたところに真の価値はあった。

 これを支えたのは、ベルギー戦に先発した11人中10人が欧州クラブに所属しているという海外で鍛えられた個々の経験である。

 ただし、8強に手が届かず大会を去らなくてはならないのは、冷徹な事実である。何が足らないのか、見つめ直す必要がある。

 例えばベルギーの選手らは、ほとんどが欧州のビッグクラブの中心選手である。日本代表は組織力を磨くとともに、個人個人がさらなるレベルアップを図らなくてはならない。

 長友がどこかさわやかな笑顔を残し、本田圭佑(けいすけ)が代表引退を口にする一方で、若い昌子(しょうじ)源はピッチを何度も両手でたたきながら泣いていた。その悔し涙に4年後の希望、未来があると信じたい。