新エネルギー計画 安定電源の確保に責任を

主張

 政府が、新たなエネルギー基本計画を閣議決定した。2030年度における電源構成目標を維持しながら、温室効果ガスの排出削減に向けてエネルギーの「脱炭素化」を打ち出した。

 特に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーについて「主力電源化を目指す」と、初めて明記した。暮らしと産業を支える電力の安定供給を図るには、再生エネだけではなく、原子力や火力などの多様な電源を効率よく活用する必要がある。

 残念なのは、温室ガスを排出しない原発について、建て替え(リプレース)や新増設を目指す方針が引き続き見送られたことだ。電力市場が自由化されたことに伴い、電力会社は、多額の設備投資が必要となる発電所の新設や大規模改修が難しくなっている。

 電力の自由化を進めた英国では電源不足が課題となっている。安定的な電源を確保するため、政府は原発新設の新たな枠組みの構築などで主導的な役割を果たすべきである。

 エネルギー政策の中長期的な指針であるエネルギー基本計画の改定は、約4年ぶりとなる。今回は50年に向けた長期エネルギー戦略も盛り込み、効率の高い蓄電池や水素などの活用に向け、電源の多様な選択肢を残すため、エネルギーに関する技術開発に取り組む姿勢を強調した。

 30年度の電源構成は、再生エネ22~24%、原発20~22%、火力56%とする従来目標を踏襲した。大きな技術変化がなかったとの判断からだ。まずはこの目標の達成に全力をあげるべきである。

 ただ、主力電源化を目指す再生エネには課題が多い。太陽光を中心とする固定価格買い取り制度により、利用者が支払う賦課金は年2兆円に達している。標準家庭で1万円に近い水準だ。国民負担を抑えるためにも、割高な価格水準の是正は急務である。

 原発比率を2割にするには30基の稼働が必要だが、現在の再稼働は9基にとどまる。安全性を確認した原発の早期再稼働を促すため、政府は原子力規制委員会による審査の迅速化や地元自治体の了承などでも前面に立つべきだ。

 原発と並べて石炭火力も重要なベースロード電源と位置づけたが、環境への負荷が大きい。発電効率が高い石炭ガス炉などへの転換も急ぐべきである。