「独裁力」も必要 論説副委員長・沢辺隆雄

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 今月から論説委員長が交代した。見出しに「独裁」とあるが、上司が温厚な人格者から、イケイケの独裁者に代わったというわけではない。

 新体制を機会に担当分野の教育問題を振り返り、学校長や学長の指導力の重要性を改めて指摘したいからだ。教育界では上司を支えず足をひっぱる動きの方が目立つ。前文部科学事務次官まで『面従腹背』という本を出したのにもびっくりした。

 ここで言う独裁力は、どこかの国のように自由と民主主義を虐げる独裁者とは違う。時代の変化に迅速に対応し、結果を出していく力のことだ。

 数年前、ビジネスとスポーツをテーマに「独裁力」をタイトルにした本が注目された。一冊は『独裁力 ビジネスパーソンのための権力学入門』(木谷哲夫著、ディスカヴァー・レボリューションズ)。もう一冊は『独裁力』(川淵三郎著、幻冬舎新書)。

 多くの企業の新規事業などを手がけてきた木谷氏の著書は、社内調整ばかり時間がかかる日本企業の特性を挙げ、トップがやるべきこと、してはいけないことを具体的に教えてくれる。

 川淵氏の著書は、サッカーJリーグやバスケットボール界の改革のエピソードを紹介しながら、「私欲のない独裁者」がリーダーの条件などと指摘する。

 変化を嫌う抵抗勢力はどこの組織にもいる。学校の先生には特に多い。教育関係者に、ぜひ読んでみてほしい。

 近年、社会に提言できる大物学長が見当たらず、「小粒化」しているといわれる。教育界のためにも寂しいことだ。

 小中学校の全国学力テストを基にした分析で、家庭の経済状況を克服し、生活習慣や読書によって好成績を上げる例が分かった。聞き取り調査では、校長のリーダーシップの重要性も分かった。教師らと対話を繰り返し、「動く教師から動かす」という。

 学校はなかなか動かない教師も多く大変なのだ。文部科学省は、「面従腹背」でなく意欲を持ち奮戦している校長らを支える施策をもっと取るべきだ。