米国防長官の来日 同盟の信頼高める努力を

主張

 来日したマティス米国防長官が安倍晋三首相や小野寺五典防衛相、河野太郎外相と相次いで会談し、北朝鮮問題での緊密な連携を確認した。

 マティス氏は韓国も訪問した。日米、米韓同盟をめぐる動揺を解消するねらいがあった。

 6月の米朝首脳会談の際、トランプ米大統領が米韓合同軍事演習の中止を突如表明し、在韓米軍の将来的な引き揚げにも言及したのが原因だ。

 日韓には青天の霹靂(へきれき)であり、同盟の安定性への懸念が生じたのはやむを得ない。北朝鮮や中国につけ込む隙を与え、核・ミサイルや南シナ海問題で強気にさせてはならない。

 日米防衛相会談は、北朝鮮がもつ核兵器などすべての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルについて、「完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄(CVID)」を目標とすることで一致した。

 国連安全保障理事会決議に基づく対北制裁を堅持し、北朝鮮船舶による制裁破りの密輸「瀬取り」を阻むため協力することも改めて確認した。

 マティス氏は小野寺氏に対し、尖閣諸島に日米安保条約を適用することを再確認し、韓国に示した在韓米軍の兵力維持の方針を説明した。拉致問題を重視する姿勢も鮮明にした。

 安倍首相に対し、「日米関係に最も高い優先順位を与えている」と語った。

 米韓合同軍事演習の中止は、日本側も米朝対話を促す効果を理由に、受け入れざるを得なかったのが実情だ。それ以外の点ではマティス氏の発言は、日本にとって意義が大きく、歓迎できる。

 ただ、マティス氏の「上司」であるトランプ氏は、日韓両国との戦略的な調整なしに、朝鮮半島の安全保障環境を激変させかねない表明をした。このままでは禍根を残すことになりかねない。

 強固な日米、米韓同盟の存在は北東アジアの平和と安定の礎であり、北朝鮮や中国の挑発や野望を押しとどめる前提だ。安倍首相や河野、小野寺両氏は、日米同盟に対する信頼感を高い水準で保つ努力を大いに重ねる必要がある。

 対北交渉を担うポンペオ米国務長官が7月上旬の来日を検討している。首相はトランプ氏との良好な間柄を生かし、北朝鮮問題や日米同盟のあり方について米側と綿密な戦略調整を図ってほしい。