【主張】イタリア新政権 移民問題で協調見失うな - 産経ニュース

【主張】イタリア新政権 移民問題で協調見失うな

 イタリアで今月発足したコンテ政権が移民問題で強硬姿勢をとり、フランスなど他の欧州連合(EU)加盟国との間で軋轢(あつれき)を生んでいる。
 きっかけは今月中旬、アフリカからの移民629人を乗せて地中海を漂流していた民間救助船アクエリアス号が、伊南部へ入港するのをコンテ政権が拒否したことだった。
 マクロン仏大統領が「無責任な対応だ」とこれを批判すると、コンテ首相は「偽善的だ」と反論した。救助船はスペインが人道的見地から入港を認めた。だが、移民への反発はイタリア国内のポピュリズム(大衆迎合主義)のさらなる高まりを招いている。EUの深い亀裂への警戒が必要だ。
 コンテ政権は、3月の総選挙でばらまき政策を掲げて第一党となった「五つ星運動」と右派「同盟」との連立で発足し、財政規律などを求めるEUの路線に一貫して懐疑的な姿勢をとっている。
 特に強硬なのは同盟党首のサルビーニ内相だ。最近は不法滞在する移動民族ロマ人の人口調査実施を提案し、物議を醸した。
 イタリアには、ムソリーニ政権がナチス・ドイツと連携してユダヤ人排斥のための人種法を制定した歴史がある。ロマ人の人口調査は特定の民族を標的としたものだとして、他の閣僚からも反対の声があがった。
 サルビーニ氏の排外的な言動は若者の支持を集めており、同盟の支持率は最近の世論調査で五つ星をしのいで首位に立った。
 EUの「ダブリン規則」は、移民・難民が最初に入った加盟国が保護手続きなどを担う義務を定めている。一方で、加盟国の受け入れ分担の制度化は東欧の反対で合意できていない。
 イタリアは地理的に中東・北アフリカからの流入の玄関口だ。自国だけが、他のEU加盟国から負担を押しつけられている、との不公平感を抱いている。
 フランスとともに、ドイツのメルケル首相も制度改革を目指す。だが、受け入れの厳格化を迫る強硬派の閣僚と対立している。加盟国に内向き志向が広がれば、欧州統合に逆行しかねない。
 EUは28、29日の首脳会議などで対応を協議する。イタリアはユーロ圏3位の経済規模を持つ。コンテ氏は主要国の自覚を持ち、独仏とともに事態打開へ責任を果たしてほしい。