大阪北部地震の教訓 自らと家族守る術、シミュレーションを

中江有里の直球&曲球
 大阪府北部地震で倒壊し、女児が下敷きになって亡くなった大阪府高槻市立寿栄小学校のブロック塀=6月18日

 18日の朝、大阪北部地震が起きた。震度6弱を計測したのはいずれも震源地に近い場所だ。それ以外にはJR大阪駅や私鉄のターミナル駅が集中する大阪市北区がある。そのため交通機関がストップし、電車内や駅から動けなくなった人が大勢出た。その週末、大阪駅の付近を歩いてみた。デパート、飲食店は通常営業、電車も普通に動いていて地震の影響は感じられない。

 東日本大震災直後の東京で節電のため駅構内が薄暗くなり、間引き運転されていたのとは違った。北区に住む両親を訪ねると、職場や家の片付けは終わったようで、元の生活に戻っていた。

 マグニチュードの大きさが違うのだから単純に比べられるものではない。しかし地震の規模にかかわらず、普段からどんな行動を取るのかによって、被害は最小限になる。

 地震の際、調理中だった母は火を消してその場を離れたという。その直後、揚げ油の鍋がひっくり返った。油の片付けには難儀したらしいが火事にならず、やけどを負わずにすんだのは幸いだった。

 今回は朝のラッシュアワーに地震が起きたため、多くの通勤、通学する人々が巻き込まれた。通学中の小学生が亡くなるという悲しい事故も起きた。小学生は1年から6年と年齢幅が広い。非常時の行動判断をできない幼い児童もいる。地震直後、大阪市の吉村洋文市長が小中学校の休校情報を会員制交流サイト(SNS)で知らせたが、登校中の児童・生徒やすでに登校した児童・生徒もいたという。休校を知って帰宅したとしても、出勤した保護者が駅や車内で動けなくなっている場合もある。また教師や学校関係者が被災していたら、いったい児童・生徒はどこへ行けばいいのだろう。

 子供のいる家、何らかの手助けが必要な人がいる家、家にはそれぞれの事情がある。事情の多い家は普段から、いざという場合に備えるのはもちろん、何も頼れない場合を想定しておくのは大切だ。

 自然災害は時間も場所も構わない。自分が被災すれば行政も被災すると考えて、自らと家族を守る術(すべ)をシミュレーションしておきたい。

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【プロフィル】中江有里(なかえ・ゆり) 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。