交番襲撃 「治安の象徴」どう守るか

主張

 交番は、日本社会の安心、安全を象徴する施設である。海外からの評価も高く、「KOBAN」の名称は広く世界的に認知されている。

 その交番が襲われた。富山市の交番で男性警部補が刺殺され、奪われた拳銃で近くの小学校で警備員が射殺された。

 警察官が奪われた拳銃で民間人が撃たれ、死亡するという最悪の不祥事である。富山県警の本部長は会見で「交番勤務の警察官が拳銃を奪取され使用されたことは誠に遺憾」と述べた。当然の謝罪だろう。

 だが、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元自衛官の容疑者は、複数の刃物で武装し、警部補にいきなり襲いかかった。亡くなった警部補には同情を禁じ得ない。

 交番のおまわりさんは基本的に訪れる人を笑顔で迎え入れる。計画的に拳銃奪取を狙う凶刃を防ぐ手立てがあったろうか。数十回にわたって刺され、致命傷を負った警部補に拳銃を守ることは不可能だったのではないか。

 「警察官等けん銃使用及び取扱い規範」は、制服着用時の警察官に拳銃の携帯を義務づけている。室内勤務の際は「この限りではない」としているが、交番など公衆の見やすい場所で勤務する場合を除いている。管内のどんなトラブルにも即応できるためであり、拳銃携行の警察官の存在が犯罪の抑止につながるからでもある。

 一方で、拳銃の所持が犯罪の標的となる事実も重視すべきだ。まず拳銃を容易に奪われることがないよう、装備を充実させる必要がある。平成17年に岐阜県多治見市で、拳銃とベルトをつなぐひもを引きちぎられて奪取された事件を受け、ひもの芯を強化する対策も取ったが、それでも今回の事件では刃物で断ち切られた。

 警察庁は、着装器具の改良により警察官本人以外は拳銃を抜きにくくする再発防止策を検討しており、約2年後までの改良予定を前倒しする方針という。できることは、すぐにやるべきである。

 室内勤務時の拳銃不携帯は、交番勤務時にも適用し、厳重保管することも選択肢の一つだ。交番が襲撃対象となる危険性を軽減できるのではないか。

 憎むべきは警察官を襲い、奪った拳銃で警備員を撃った容疑者である。治安を守るため、危険と対峙(たいじ)する警察官の待遇改善や増員も真剣に検討すべきだ。