【主張】イラン原油の禁輸 国益損なわぬ調達交渉を - 産経ニュース

【主張】イラン原油の禁輸 国益損なわぬ調達交渉を

 イラン核合意から離脱して制裁の復活を表明したトランプ米政権が、日本を含むアジアや欧州各国に対してイラン産原油の輸入禁止を求めた。
 日本は原油の9割を中東からの輸入に依存しており、そのうちイラン分は5・5%を占める。古くから友好関係を築いてきた歴史もある。
 輸入停止を回避するよう、欧州とも連携しながら、米国の説得に努めるべきである。
 3年前、オバマ前政権が英独仏露中の6カ国でイランとウラン濃縮など核開発の制限で合意した。これを受けて米は、イラン向けの制裁を解除した。
 だが、核合意が不十分だと指摘するトランプ氏は、制裁を復活する大統領令に署名した。11月4日までにイラン産原油の輸入を全面的に禁止するよう、同盟国に求めてきたのは、その一環としての措置である。
 菅義偉官房長官が、日本企業に影響が出ないよう、関係国と協議する考えを示したのは当然だ。
 原油輸入は長期契約を原則としており、急に変更すれば不利益を被る恐れがある。影響を避けるには、多方面に目配りした粘り強い交渉が欠かせない。米国が指定した11月という輸入停止の期日について、さらに延長を求めることも考えるべきだ。
 米国が復活させた経済制裁は、イランと取引する第三国も対象とする厳しいものだ。政府内には米国との関係を考慮し、「イラン産原油の輸入停止はやむを得ない」との声も上がっている。
 そうした事態を避ける取り組みを重ねつつ、代替原油の確保に向けた準備も怠ってはなるまい。他の産油国との調達交渉を急ぐ必要があり、第三国を通じたバーター取引の拡大など、多様な調達を工夫してほしい。
 米国による原油輸入の停止要求は、周囲を海に囲まれた資源輸入国という、日本の厳しいエネルギー事情を改めて浮き彫りにしたといえよう。
 原油など資源の調達先とエネルギー構成の多様化は、日本にとっての生命線である。だからこそ、安全性を確認した原発の早期再稼働は、喫緊の課題といえる。それなくして、資源調達における交渉力の向上は難しい。
 原発を含めた安定電源の確保は、日本のエネルギー安全保障の確立にとり急務である。