【風を読む】伝わった熱い思い 日本代表・岡崎の「スイッチ」 論説副委員長・別府育郎 - 産経ニュース

【風を読む】伝わった熱い思い 日本代表・岡崎の「スイッチ」 論説副委員長・別府育郎

セネガル戦の後半、ゴールを決めた本田圭佑(左)を祝福する岡崎慎司=ロシア・エカテリンブルク(撮影・中井誠)
 ワールドカップ(W杯)が面白い。世界の強豪を相手に日本代表1勝1分けの激闘は、存分に興奮させてくれている。
 停滞、低迷が心配された日本代表に変貌のスイッチを入れたのは誰か。それはFW岡崎慎司だったと考える。
 ハリルホジッチ前監督の電撃解任の後を任された西野朗監督は、代表メンバーに故障の癒えない岡崎を選出した理由を「彼の代わりはいない」と述べた。その真意が、今は分かる。
 W杯を控えた親善試合でチームは結果を出せず、直前のパラグアイ戦に岡崎は初めて先発した。「W杯の戦い方を示す。自分がこのチームにいる意味、存在価値というものをみせたい」とピッチに躍り出た岡崎は、ひたすら前線で相手ボールを追い回し、控えに甘んじていた香川真司らがこれに連動した。
 その戦いぶりは感動的ですらあり、DF長友佑都らは「あれだけ追ってくれれば後ろは楽」と口にした。ベンチの選手らにも熱い思いは伝わったろう。
 W杯初戦のコロンビア戦で前線の選手らは、岡崎が乗り移ったようにボールを追い回し続けた。「岡崎」がピッチにあふれていた。香川のPKを呼び、決勝点を頭で決めたFW大迫勇也の強さはドイツで鍛えられた成果だろう。だが、自陣ゴール前で決定的なハメス・ロドリゲスのシュートを身を投げ出して防いだ際には、「なぜそこに大迫」と驚かされた。あれは、岡崎そのものである。
 セネガル戦の後半に投入された岡崎は、ゴール前で相手GKとともにつぶれ、盟友本田圭佑の同点弾のコースを開けた。
 2年前、岡崎が所属するレスターは優勝オッズ5001倍の予想を覆して英プレミアリーグを制した。当時の英国各紙が岡崎に贈った賛辞の数々を思い出す。献身、勇気、誠実、闘志、熱意。その全てが、岡崎が体で示した「W杯の戦い方」であったのだろう。そしてそれを受け止めるチームメートがいた。
 願わくは、このドラマの続きをもうしばらく見ていたい。次のポーランド戦に、決勝トーナメントへの進出がかかる。