【主張】「中国台湾」表記 ごり押しの輸出はご免だ - 産経ニュース

【主張】「中国台湾」表記 ごり押しの輸出はご免だ

 目に余るごり押しと言わざるを得ない。
 台湾の名称をめぐり、中国政府が自国の一方的な主張に従うよう外国企業に強要している。
 中国に乗り入れる外国航空会社44社に対し、航空当局が台湾を「中国台湾」と表記変更するよう求めたのだ。従わなければ、中国の国内法に基づいて処罰するという。
 実質的な恫喝(どうかつ)である。航空会社としては、中国路線の円滑な運航を人質に取られた格好だ。
 菅義偉官房長官は「政府が民間企業の活動に対し、強制力をもって、特定の政治的立場に基づいた措置を取るよう要求することは好ましくない」と批判した。
 当然だが、英紙によれば米政府はさらに踏み込み、米航空3社に対して中国の要求を無視するよう求めたという。注目したい。
 5月末までにドイツ、カナダなどの18社が中国の要求通り表記を変更した。日本航空、全日空も中国、香港向けの中国語ホームページで表記を採用した。米社を含む残る26社も、7月下旬の期限までに変更に応じる可能性がある。
 中国政府の主張は、台湾を領土の一部とする「一つの中国」に基づく。「中国台湾」という表記は台湾の存在を完全に無視し、中国の主張のみを全面的に反映させたいのだろう。
 外国企業が敏感な政治問題を避けたがるのは、やむを得ない。これまで「台湾」の表記を採用してきたのは合理的な対応である。
 日米など主要国が、中国と国交正常化した1970年代から続けている慣行でもある。中国政府も、これまでは容認してきたということではないか。
 日本政府は、日中国交正常化の共同声明で、台湾に関する中国の立場を「十分理解し、尊重」すると表明した。官民を問わず、日本の立場はこれに尽きる。
 だが、中国の強硬な態度の裏には「中華民族の偉大な復興」を掲げる習近平政権の民族主義的な姿勢があり、台湾への圧力政策とも連動しているとみられることも警戒しなければならない。
 航空以外の分野で、外国企業に同様の要求が広がる恐れもある。次々とごり押しを受け入れるわけにはいかない。
 日系2社の新表記採用に台湾は反発した。中国のまいた種で日台が反目するのは残念である。冷静に対応してもらいたい。