災害時のデマ 卑劣なネット拡散許すな

主張

 大阪北部地震の発生直後から、ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)を中心に、さまざまな流言、虚報(デマ)が飛び交った。

 災害時の混乱に乗じ、根拠のない嘘を広めようとする卑劣な行為を決して許してはならない。

 被災地以外でも話題になった「シマウマが脱走した」「京セラドームに亀裂が入った」「電車が脱線した」との投稿はいずれも嘘だった。シマウマや京セラドームの写真を添付するなど、手口は悪質である。

 平成23年の東日本大震災や、28年の熊本地震でも、同様のデマが流れた。熊本地震直後には、神奈川県の会社員の男が「動物園からライオンが逃げた」とツイッターで流した。動物園の業務を妨害したとして逮捕されると「悪ふざけでやった」と供述したという。

 こうした情報を信じた人がいれば、避難行動にも影響する。震災被害を拡大しかねない、許されない行為であると知るべきだ。

 流言の中でも見過ごせないのは「外国人の窃盗・強盗に注意」「テロに注意」といった外国人、在日外国人に対する偏見、差別の助長につながる表現だ。特定の人々を攻撃する行為である。

 大正12年の関東大震災では、混乱の中で「朝鮮人が暴動を起こした」などの流言により、朝鮮半島出身の人々らが殺害され、止めようとした日本人が犠牲になる事件も起きた。

 SNSの運営会社も、そうした発言について利用規定を厳格に運用し、チェックを強化してほしい。要請があればデマを削除することなどはもちろん、書き込んだ人間の利用を凍結するなど、毅然(きぜん)とした態度で臨むべきだ。

 違法行為は「軽い気持ちだった」などという言い訳は通じない。デジタル教育の場でも、基本的な事項と位置づけたい。

 今回、大阪府はホームページに「事実と異なる情報が発信、拡散されている。情報の発信元には注意し十分に確認を」と記載し、冷静な対応を呼びかけている。

 情報化社会の今、投稿された内容は真偽にかかわらず瞬時に拡散する。個々の利用者が真偽を確かめないまま引用する行為は、非常時の混乱を加速するのだ。

 個人が自由に情報発信できる価値を守りたい。その価値を損なおうとする行為を見極める努力も欠かせない。