【主張】中朝首脳会談 非核化の骨抜きを許すな - 産経ニュース

【主張】中朝首脳会談 非核化の骨抜きを許すな

 中国の習近平国家主席が、トランプ米大統領との会談を終えた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対し、核問題をめぐり北朝鮮を後押しする立場を鮮明にした。
 だが、それは国際社会が求める北朝鮮の完全で迅速な非核化とは結び付かない。自国に都合の良い路線で足並みをそろえるさまは、極めて遺憾である。
 習氏は、非核化について中国が「建設的役割を果たしていく」と述べた。とても額面通りには受け取れない。
 北朝鮮は「段階的な非核化」により、制裁解除などの見返りを求めている。中国もこれに同調してきた。だが、制裁圧力を弱めれば非核化を迫られた北朝鮮の切迫感を減じるだけとなろう。核開発の時間稼ぎや、核兵器・計画を隠す猶予を与えかねない。
 国連安全保障理事会の対北決議は、北朝鮮が持つ核、化学、生物の大量破壊兵器と弾道ミサイルを平和への脅威とみなし、放棄を求めている。核・ミサイルの脅威が完全に排除されない限り、制裁を緩めてはならない。
 もう一つの大きな問題は、中朝両国が駐留米軍を韓国から追い出そうとねらっている点である。
 習、金両氏は、先の米朝首脳会談について、非核化と並んで「朝鮮半島の恒久的な平和体制の構築」でも米朝が共通認識を得たとしたうえで「高く評価」しているのである。
 今は休戦状態にある朝鮮戦争を終結させることをテコに、在韓米軍を撤退させたいのであろう。
 それは米韓同盟の弱体化、空洞化につながり、北東アジアの平和に逆行する。安保理決議に反する北朝鮮の無謀な軍事挑発と、米韓同盟という国家間の約束を同列に論じるのはおかしい。
 そのような態度で中国が北朝鮮の後見役を務めるなら、核・ミサイル問題は解決しない。常任理事国でもある中国は、安保理決議から逸脱してはならない。真の非核化を迅速に実現するよう北朝鮮に説く役割こそ果たすべきだ。
 中朝両国が身勝手な論理を押し出してきたのは、トランプ米大統領が米韓合同軍事演習の中止や将来の在韓米軍撤退を言い出したからでもある。
 日本はトランプ政権に対し、8月の米韓演習中止以上の見返りを与えないよう、働きかけなければならない。