【主張】地震と街の設備 「凶器」にしてはならない - 産経ニュース

【主張】地震と街の設備 「凶器」にしてはならない

 ブロック塀や本棚はどこの街や家にもある。大阪府北部を震源とした地震では、これらが人命を奪う「凶器」となってしまった。
 府内の私鉄駅では電光掲示板が大きく傾いた。煙突が折れてしまった銭湯もある。人を直撃していたらと思うと、ぞっとする。
 防災の面から、街や家の設備を見直す必要がある。建物の耐震化だけでは不十分である。今回の震災がもたらした教訓の一つだ。
 地震で倒れ、小学4年の女児の命を奪った大阪府高槻市立寿栄小のブロック塀は、高さが3・5メートルあった。建築基準法施行令は上限を2・2メートルと定めている。
 天災というよりこれでは人災である。高槻市は法令違反を認め、大阪府警は業務上過失致死容疑で捜査を始めた。
 学校は、子供だけでなく災害時には避難者の命を預かる。施設の安全に万全を期すことは、当然の責務である。法令違反の状態を見過ごすなど論外だ。
 事態を受けて高槻市が市内の小中学校で緊急安全点検を行ったところ、法令に違反している可能性があるブロック塀がほかにも見つかった。全国の学校でも点検が欠かせない。
 地震後に大阪府教育庁が行った調査では、府内の小中学校や幼稚園をはじめ少なくとも75校・園でブロック塀などの異常が見つかっている。今後も注意が必要だ。
 菅義偉官房長官は、異常が認められたブロック塀の撤去に補助金を活用することを検討していると述べた。
 学校だけではない。今回、大阪市東淀川区で民家のブロック塀が崩れて高齢男性が死亡した。
 昭和53年の宮城県沖地震で10人以上が倒れた塀などで圧死し、危険性が指摘された。強度が不十分な塀はまだ多いとみられる。
 何より持ち主が、凶器になる可能性がある設備を安全な状態にする意識を持たなければならない。塀に限らない。看板や煙突など、身の回りのあらゆる設備をそのような目で見直すべきである。
 地震では、本棚など倒れた家具の下敷きになって亡くなったとみられる犠牲者もあった。
 激しい揺れでは、テレビなどは飛ぶような動きを見せるという。家具の固定や転倒防止対策は減災の第一歩である。自らできることを確実に行いたい。