出生数3万人減 子育てから出生支援策へ

主張

 厚生労働省が昨年の出生数を94万6060人と発表した。2年連続での100万人割れだが、より危機感を持たざるを得ないのは、その減少幅である。

 前年に比べ約3万人も少ない。少子化に歯止めがかかっていない。

 こんなペースで減っていけば、子供が一人も生まれない自治体が増え続ける。

 子供が生まれてこない状況を打開しなければならない。子育て支援策の充実にとどまらず、出生支援策に踏み込まねばならない現実を直視すべきである。

 日本の少子化が深刻なのは、これまでの出生数減により「将来の母親」となる若い女性の人数が激減していくからである。

 安倍晋三首相が少子高齢化を「国難」と位置づけたのは妥当だ。この言葉が上滑りしないよう、国を挙げて課題の克服に取り組むことが求められる。

 政府のこれまでの対策は、子育て支援策を中心としたものだ。戦前・戦中の「産めよ殖やせよ」という出生奨励策に対する、国民の忌避感が強かったためだ。

 ただ、子育て支援策は、すでに生まれている子供の成長へのサポートである。結婚を希望しながらできない人、子供を欲しいと思いながら持てないでいる夫婦の悩みに対応するものではない。

 この点で、内閣府の少子化克服戦略会議がこのほどまとめた報告書が、不妊治療の充実や多子世帯へのより手厚い支援の検討を提言したのは大きな前進といえる。

 多子世帯への手厚い経済的支援策は、いくつもの国で大きな成果を上げている。安倍政権は報告書を踏まえ、具体的な政策として展開してほしい。

 出生支援策は、あくまでも国民に寄り添い、その希望を実現することが基本となるものである。国家が国民の結婚や妊娠・出産に介入すべきでないことは、言うまでもない。

 しかし、政府内にさえ出生支援策と出生奨励策を取り違えた議論がいまだに散見する。内閣府や厚労省は、両者の違いを丁寧に説明しつつ、ひるまず出生支援策の強化に取り組んでもらいたい。

 このままでは、2040年の年間出生数は74万人ほどになると推計される。若い女性が激減してしまってからでは手遅れになる。

 もはや「議論」ではなく「行動」のときである。