【主張】欧米の金融政策 リスク見極め平時対応を - 産経ニュース

【主張】欧米の金融政策 リスク見極め平時対応を

 欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を年内に終えることを決め、米連邦準備制度理事会(FRB)が3カ月ぶりの利上げに踏み切った。
 景気や物価が上向いてきたのを踏まえた判断は、いずれも妥当なものといえるだろう。
 政策判断の背景となっているのは、欧米経済の堅調さであり、これは世界経済の追い風でもある。両中銀は景気が腰折れしないよう、政策の方向性を市場に浸透させるための丁寧な政策運営に努めてほしい。
 リーマン危機後、日米欧の中央銀行は量的緩和やマイナス金利政策など非常時の対応を講じた。先行してこれを正常化した米国に続き、欧州も平時の対応へと転換した格好である。
 両中銀には、世界の資金の流れにも注意を払ってもらいたい。特に、利上げペースを加速して年内にあと2回が予想される米国にいえる。新興国マネーが金利の高い米国に向かえば、新興国側の通貨下落やドル建て債務の拡大につながる。それは、新興国経済の悪化を招きかねない。
 米金利上昇に伴って通貨ペソが売り込まれたアルゼンチンは、国際通貨基金(IMF)の支援を受けることになった。トルコやブラジルなどでも、通貨安懸念がくすぶる。日本経済のリスクとして、認識しておくべきである。
 量的緩和は、中央銀行が国債を大量に購入して市場に出回るお金を増やす政策だ。ECBは10月に購入額を減らし、12月末にはゼロにする。政策金利は来年夏まで現行水準を維持する。米国のような利上げにはまだ慎重だ。
 米国も欧州も消費者物価上昇率が2%前後の水準となり、雇用も改善している。金融を引き締めるのは自然な流れだろう。
 ただ、先行きには不確実な要素が多い。新興国だけでなくイタリアの政局混乱なども懸念される。何より、トランプ米政権の保護主義政策が世界に悪影響を及ぼすと両中銀は共に認識している。
 先進7カ国(G7)が、首脳レベルでも6カ国対米国の構図となっているのも気がかりだ。
 大規模緩和を続ける日銀は、現行政策の維持を決めた。米欧との方向性の違いはより鮮明だ。足元の物価が伸び悩む現状では、やむを得ない面も大きい。緩和に伴う副作用に目配りしつつ、政策効果の検証を重ねる必要がある。