【主張】6度目の成長戦略 成果なき項目は見直しを - 産経ニュース

【主張】6度目の成長戦略 成果なき項目は見直しを

 政府が新たな成長戦略を閣議決定し、併せて作った経済財政運営の指針「骨太方針」に、これを迅速に推進する方針を盛り込んだ。
 人工知能(AI)やロボットなどの最先端技術を、あらゆる産業や暮らしに取り入れる。そんな社会を「ソサエティー5・0」と名付け、本格的に始動するというのが柱だ。
 目指す方向性は間違ってはいないが、従来の中身を踏襲した印象が強い。問題なのは、過去の成長戦略に進捗(しんちょく)が遅れ、成果が不十分なものが多いことである。
 項目の着実な具体化、成果の積み上げが重要である。見込みのないものは取捨選択が必要だ。
 金融緩和と財政出動で景気刺激する間に成長戦略を深め、経済を底上げする。それが安倍晋三政権の目指す本来の姿である。成長分野を後押しし、民需主導の力強い経済につなげる必要がある。
 第2次政権の発足後、6度目となる成長戦略だ。2020年をめどに地域を限定した公道で、運転手のいない自動運転による移動サービスを始める。医療や介護分野で、AIの活用を進めることも盛り込んだ。
 第4次産業革命といわれる世界の技術革新を取り込むことは、製造業はもとより、欧米と比べて生産性の低さが顕著な非製造業にも有用である。人口減でも着実に成長できる基盤をつくりたい。
 重点分野は旗艦プロジェクトと位置づけ、推進する産官協議会を新たに設置する。ここで扱うプロジェクトについて、20年までに実現する短期的な案件と、25年までかけて行う案件に分け、人材や資金を重点配分するという。
 従来、成長戦略には予算獲得を目指す各省庁が総花的に要求項目を羅列する傾向があった。その反省に立ち、目に見える形で成果が得られるよう旗艦プロジェクトを選ぶ狙いは理解できる。
 同時に、成果が出ない項目を徹底的に洗い出すべきである。
 16年の成長戦略で示した134の重点項目のうち、今年1月時点で4割が目標未達だった。農業分野の改革遅れなどが目立つ。
 20年までに世界銀行のビジネス環境ランキングで3位以内に入る目標も、18年時点で24位とかけ離れたままの状態だ。
 目標設定が妥当なのかも含め、問題点の解消を抜本的に進める作業が欠かせない。