【主張】新幹線の接触事故 安全への意識徹底を図れ - 産経ニュース

【主張】新幹線の接触事故 安全への意識徹底を図れ

 JR山陽新幹線の先頭車両に人をはねたとみられる破損がみつかった。運転士は衝突した際の異音を認識しながら報告をせずに運行を続け、すれ違った新幹線からの連絡で車両を点検し、事故に気付いた。
 またも、JR西日本である。昨年12月、新幹線の台車に破断寸前の大きな亀裂が入り、運転士らが異音や異臭に気付きながら運行を続ける問題を起こしたばかりだ。
 同社はこれを教訓として、運転士が異変を察知した場合、ただちに運行を停止するように改めた。この安全規則が、早速破られた疑いがある。
 どれほど厳格な規則を導入しても、運行の現場がこれを順守しなければ、列車の安全を守ることはできない。JR西は事態を厳しく受け止めて検証し、再発防止を急がなくてはならない。
 博多駅を出発した東京行き「のぞみ176号」の運転士は、博多-小倉間の走行中に異音を聞いたが、小動物の衝突音だと判断して運行を継続した。小倉駅に着いても車両を点検しなかった。駅員も車両の異常を見付けたが、点検を見送った。信じがたい怠慢だ。
 対向車両からの連絡を受けてようやく新下関駅で運行を止めてボンネットの破損を確認し、中から人体の一部が見つかった。線路に立ち入った人をはねたとみられる。運転士や駅員は異変を認識しながら点検せず、運行を続けた。安全意識を持っているのか。
 JR西では運転士が異音などの発生原因を特定できない場合、その内容を指令所に報告することになっていた。
 だが運転士は、これも怠っていた。石井啓一国土交通相が同社に早急な調査を求めたのは、至極当然である。
 運輸安全委員会が新幹線初の重大インシデントと認定した昨年の台車亀裂では、運転士が異音や異臭を認識しながら3時間近く運行を続けた。その反省が全く生かされていない。事態は深刻だ。
 同社は平成17年、兵庫県の福知山線の脱線で乗客106人が死亡する重大事故を起こした。
 事故後に経営効率を優先する姿勢を見直し、安全最優先を目標としてきたはずだ。
 台車亀裂の重大事故に続く、今回の体たらくである。安全運行は経営の前提だ。JR西には猛省を求める。