【主張】米朝首脳会談 「同盟の真価」が問われる - 産経ニュース

【主張】米朝首脳会談 「同盟の真価」が問われる

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が12日、シンガポールで会談する。
 トランプ氏が目指すべき点は、はっきりしている。国際社会に対する北朝鮮の脅威を明確に取り除くことだ。
 核などすべての大量破壊兵器と、あらゆる射程の弾道ミサイル、関連施設の「完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄(CVID)」を北朝鮮にのませ、速やかに実行させることである。
 拉致問題の解決を突きつけ、日朝間の直接交渉に道筋をつけてもらうことも期待したい。
 北朝鮮の朝鮮中央通信は、米朝首脳会談で、新たな米朝関係の樹立や朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制の構築、朝鮮半島非核化の実現などを協議すると伝えた。
 だが、まず追求すべきは北朝鮮の非核化である。北朝鮮が大量破壊兵器と弾道ミサイルを完全に放棄することなしに、朝鮮半島に平和な状態は訪れない。拉致の解決も同様である。
 トランプ氏は、米朝首脳会談で休戦状態の朝鮮戦争の終結を宣言する可能性に言及している。
 会談の成果を確認することなく前のめりとなるのは禁物である。北朝鮮が「今度も米国をだませるのではないか」と考えれば、真の非核化は遠のいてしまう。
 米朝会談の行方次第では、朝鮮戦争後に固定化した朝鮮半島をめぐる安全保障環境を激変させる可能性があることも注視したい。
 在韓米軍の撤退や大幅縮小、米韓同盟の空洞化につながれば、日本にとって対馬が最前線となる。外交上、防衛上の負担が増す恐れがある。
 北朝鮮の核・ミサイルの脅威は除かねばならないが、実現しても「平和の配当」は難しい。中国に備えるための弾道ミサイル防衛などの整備は怠れないからだ。
 トランプ氏は、北朝鮮に準中距離弾道ミサイルの保有などを認めるといった、日本の安全を犠牲にする妥協は避けるべきだ。日本国民の日米同盟に対する信頼が揺らぐリスクは極めて大きい。
 米軍基地の容認を前提とする日米同盟は、北大西洋条約機構(NATO)と並び、米国が主体となって作った世界秩序を支える基盤である。日米同盟の動揺は、海洋覇権を追求する中国を喜ばせる。「日米同盟の真価」が問われている視点を欠いてはならない。