【主張】G7サミット 存在意義失ってはならぬ - 産経ニュース

【主張】G7サミット 存在意義失ってはならぬ

 先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が、貿易をめぐり「6カ国対米国」の構図で激しく対立する場になった。
 自由や民主主義などの価値観を共有する先進国が、意見の相違を乗り越えて結束してきたのがG7である。その枠組みさえ崩れかねない異常事態である。深刻に受け止めざるを得ない。
 米朝首脳会談を目前に控えたタイミングだ。各国首脳が北朝鮮に完全な非核化を求めることで一致し、会談成功を後押しすることを確認した意義はむろん大きい。
 G7協調の価値を一面では発揮しながら、相反するように米国が孤立主義を強める。それが負のメッセージを与えることをトランプ大統領は認識すべきだ。
 米国が6カ国に鉄鋼などの輸入制限をかける貿易紛争を仕掛けたため対立が激化した。昨年のサミットでも保護主義志向のトランプ氏は孤立したが、具体的措置を発動し、各国が対抗措置を講じる今の状況はさらに深刻である。
 自由貿易の秩序を築いてきた米国が自らそれを壊そうとする。各国首脳がこぞって批判する言葉にトランプ氏が一切耳を貸さないことが亀裂を深めさせた要因だ。
 見過ごせないのはG7の存在を軽視するかのような言動だ。出席を嫌がっていたとの報道もある。唐突に、G7が経済制裁を強めてきたロシアをメンバーに復帰させたい意向も示した。
 一方でマクロン仏大統領は、米国抜きで合意文書に署名することになっても構わないとの考えを示した。これでG7の枠組みを維持できるのか。
 先のG7財務相・中央銀行総裁会議の議長総括は、協調を取り戻すよう首脳に「断固たる行動」を求めた。それとはほど遠い状況を放置するわけにはいかない。
 中国などが参加する20カ国・地域(G20)の枠組みは価値観を共有できず、国際問題への効果的な対応に限界がある。一方、G7は経済や外交、安全保障などで幅広く連携してきた。
 北朝鮮の脅威については拉致問題も含め、G7を通じて欧州にも正しい認識を浸透させてきた。アジアで唯一のメンバーの日本にとって貴重な枠組みである。
 安倍晋三首相は北朝鮮問題で連携を図るだけではなく、通商問題で米国を孤立させないよう粘り強く働きかけていくべきだ。