日米首脳会談 成果を拉致の全面解決へ

主張

 安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、週明けの米朝首脳会談の対応を話し合った。

 トランプ氏は会談後の共同記者会見で、「安倍首相は拉致問題について長く、熱心に話した。私は北朝鮮と拉致問題について絶対に議論するだろう」と語った。

 金正恩朝鮮労働党委員長との直接会談を12日に控えたこの時期に、トランプ氏の口から拉致問題について強い言葉を得た。日米会談の大きな成果である。

 日米の連携によって、金委員長に対して、拉致問題の解決を抜きに北朝鮮は未来を望めないという現実を突きつけたといえる。

 今回の会談に加え、拉致問題の重要性を訴え続けた外交や、家族会の努力の積み重ねが築き上げた結果である。

 首相は、拉致問題は「最終的には私と金委員長で直接協議し、解決していく決意だ」と述べ、日朝首脳会談の実現を通じて決着を図る考えを示した。日本人の生命は日本政府が守らなくてはならない。当然の決意表明である。

 ただし、まだ何も具体的な成果を得たわけではない。北朝鮮は拉致を「解決済みの問題」とする従来の姿勢を崩していない。

 ここが正念場である。

 首相は拉致問題の解決を条件に、「日朝平壌宣言に基づき国交を正常化し、経済協力を行う用意がある」と語った。北朝鮮は、非核化に伴う経済制裁の解除だけでは、中長期的に安定した体制になれない。日本の経済協力は本音では垂涎(すいぜん)の的に違いない。

 拉致被害者全員の帰国が不可欠である。それなしに日本からの支援はあり得ないことを、北朝鮮は認識しなければならない。

 日米両首脳が、北朝鮮の完全な非核化に向け、制裁と圧力を維持する考えで一致したことも評価できる。核など全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な放棄を定めた、国連安全保障理事会決議の履行が必要だと確認できた。

 トランプ氏は、休戦中の朝鮮戦争の終結に関して、何らかの合意に署名する可能性に言及した。在韓米軍の抑止力を損なわないようにしなければならない。

 これらの原則を堅持してこそ北朝鮮の脅威を取り除き、拉致被害者を救い出せる。対北交渉が「対話のための対話」に陥る恐れを避ける方策にもなるのである。