はやぶさ2 生命と太陽系の謎を解け

主張

 日本の探査機「はやぶさ2」が、今月下旬にも目指す小惑星「リュウグウ」の上空に到着する見通しとなった。

 3年半前にH2Aロケットで打ち上げられ、地球の重力による加速やイオンエンジンの噴射で、30億キロ以上に及ぶ宇宙の旅を続けての到達だ。

 打ち上げ成功時に続く第2の大きな拍手を送りたい。

 小惑星は、46億年前に太陽系が誕生したとき、惑星になり損ねた小天体だ。

 惑星では高温高圧の影響で性質が変化しているのに対し、小惑星の場合は原始の状態が保たれている。「太陽系のタイムカプセル」と呼ばれるのは、そのためだ。

 小惑星の大部分は、木星と火星の軌道の間に分布しているが、少数が火星と地球の間にも存在する。直径約900メートルのリュウグウは、後者の一つで、有機物を含んでいる可能性が高いことから今回の対象に選ばれた。

 はやぶさ2は、2020年末に地球に帰還する計画だ。リュウグウには1年半滞在し、表面に小クレーターを作って風化の影響が及んでいない内部の岩石標本を採取するなどの活動を続ける。

 探査が成功すれば、太陽系の起源だけでなく、地球の生命誕生の謎の解明にもつながる貴重な情報が手に入る。

 機体本体は冷蔵庫ほどの小さな無人探査機だ。それが広大な宇宙の長旅から使命を果たして地球に帰ってくる。科学と冒険の要素が合体したドラマである。

 幾多の危難を宇宙航空研究開発機構(JAXA)のチーム力で克服し、満身創痍(そうい)となりながらも小惑星「イトカワ」の微粒子を地球に届けた先代「はやぶさ」の8年前の感動がよみがえる。

 はやぶさ2の機体には、先代機の経験が反映され、数々の改良が加えられている。国民から寄せられた寄付金も活用された。科学技術の好循環の理想例だ。

 とはいえ、過酷な宇宙空間での探査である。予期せぬ事態に、手に汗握る場面もあるだろう。JAXA研究陣の問題解決力に期待したい。少年少女にとって躍動感を伴う生の科学技術教育だ。

 太陽系探査を日本の得意分野としてさらに発展させたい。実務型の国際宇宙ステーションや情報収集衛星だけでは世界の尊敬は得られない。宇宙科学研究の予算充実が望まれる。