【主張】目黒女児虐待死 子を救う措置ためらうな - 産経ニュース

【主張】目黒女児虐待死 子を救う措置ためらうな

 読むことが辛(つら)い。書き写すことも苦しい。この子の命を救えなかった全ての要因が恨めしい。
 東京都目黒区のアパートで3月、父親からの暴行を受けた直後に死亡した5歳の女児は、両親に宛てた手書きのノートを残していた。
 「あしたはもっともっと できるようにするから」「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」「ほんとうにもう おなじことはしません ゆるして」。女児はどんな気持ちでこれを書いたのだろう。想像するだけで、胸が苦しい。
 警視庁は両親を、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。ノートは警視庁の捜査員が家宅捜索をした際に見つかった。謝罪の言葉は鉛筆書きのひらがなで、繰り返し書き連ねられていた。見つけた捜査員も涙したという。
 傷害罪で起訴済みの父親は、女児に厳しい食事制限を課し、いいつけを守らないと暴行を加えていた。「虐待がばれると思い、病院に連れて行かなかった」という趣旨の供述もしているという。母親も虐待を放置していたようだ。
 女児の文章を掲載した同じ日の社会面では、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの両親が変わらぬ娘への愛と再会への期待を記していた。前日の社会面では、山口県光市の母子殺害事件で妻とわが子を失った本村洋さんが2人への思いを語っていた。
 それが親である。
 子を死に至らしめる親は、すでに親ではない。
 父親は香川県に住んでいた昨年にも女児に対する傷害容疑で2度にわたって書類送検されていた。県児童相談所は虐待の疑いがある保護者に専門家の指導を義務づける行政処分を行ったが、養育環境が改善されたとして今年1月、処分を解除していた。
 一家は1月、東京に転居し、香川県の児相から連絡を受けた品川児相がアパートを訪問したが、母親に面会を拒否されていた。女児を救う機会はあったのだ。
 児童虐待防止法や児童福祉法の改正で、家庭に強制的に立ち入る手続きが簡略化され、警察官の同行も求められるなど、児相の権限は強化されている。
 だが、その運用に躊躇(ちゅうちょ)があっては、救える命も救えない。虐待が疑われる親からは、まず子を引き離すことだ。社会全体で、子供を守らなくてはならない。