【主張】米国の輸入制限 G7の亀裂は放置できぬ - 産経ニュース

【主張】米国の輸入制限 G7の亀裂は放置できぬ

 先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が議長総括で、米国の鉄鋼輸入制限に対する「懸念と失望」をトランプ大統領に伝えるよう、米国の出席者に要請した。
 G7内の特定国を名指しで非難するのは異例である。だが、それほど米国の保護主義的な振る舞いが度を越していることの反映といえよう。
 G7の協調を根底から覆しかねない事態は大きな懸念である。
 トランプ氏は閉幕後、「貿易戦争に負けるわけにはいかない」との見解を示した。G7は中国の不公正な貿易慣行に結束して対峙(たいじ)すべき存在である。そこに亀裂が生じて喜ぶのはどこか。現実を冷静に認識してもらいたい。
 安倍晋三首相を含む各国首脳は、恫喝(どうかつ)的な外交をやめるよう米国に迫る必要がある。ただ、それだけでトランプ氏を翻意させることは期待できまい。国際ルールに基づく対抗措置も等しく重要だ。日本は欧州やカナダとの共闘を検討すべきである。
 米国の措置は「開かれた貿易や世界経済システムの信頼性を損なう」とし、協調を取り戻す「断固たる行動」を首脳に促した。
 ムニューシン米財務長官が閉幕後、米国以外の6カ国を「最も重要な同盟国だ」と述べたのは、むなしく聞こえる。
 「G6プラス孤立する米国」という状況を誰が招いたかである。米国は会議と並行し、日本に加え欧州連合(EU)やカナダなども輸入制限の対象に含めた。自動車でも輸入制限の検討を始めた。
 世界貿易機関(WTO)ルールに反する疑いがある。理由は「安全保障上の脅威」と強弁しているが、同盟国か否かにかかわらず、貿易赤字の縮小には手段を選ばない姿勢を隠さない。
 各国がこれに対処する選択肢の一つはWTOへの提訴だ。EUやカナダはその手続きに入った。日本も立場を明確にするには、提訴をためらうべきでない。
 国際ルールに基づく対抗措置も検討課題だ。EUなどが幅広い米国製品を挙げて追加関税の発動へと動いている。日本も準備ありとWTOに通知しているが、具体的な品目は示していない。品目リストを示し、米国に貿易戦争のマイナス面を理解させるべきだ。
 米国の孤立回避に手を尽くすのも、トランプ氏と良好な関係にある安倍首相の大きな役割だ。