【主張】米朝首脳会談 「非核化の原則」再確認を - 産経ニュース

【主張】米朝首脳会談 「非核化の原則」再確認を

 トランプ米大統領が、ホワイトハウスで北朝鮮高官と会談した後、いったんは中止と通告した金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を、当初予定の通り12日にシンガポールで開くと発表した。
 ポンペオ米国務長官は「(米朝協議に)過去72時間で実質的進展があった」と語った。トランプ氏は、12日の会談で文書に署名することはないと説明し、「プロセスの始まりだ」と述べた。包括的な非核化合意は一度ではまとまらず、さらなる首脳会談が必要だと考えているのだろう。
 非核化の内容や進め方について米朝にはなお溝があることがうかがえる。甘い観測はできない。
 北朝鮮は金氏が支配する独裁国家だ。トランプ氏が直接会って非核化を迫り、具体的行動をとらせようというのは理解できる。
 ただ、トランプ氏の高揚した発言は気になる。
 非核化まで制裁を解除しない方針を示したのは妥当だが、「(協議が)うまくいっているので『最大限の圧力』という言葉はもう使いたくない」と語った。交渉中は追加制裁をしないと表明した。国際社会の北朝鮮制裁網が緩む恐れがある。
 休戦中の朝鮮戦争の終結について、「首脳会談で何らかの成果があるかもしれない」と語った。非核化に先行すれば、北朝鮮が感じる軍事的圧力を弱める一種の「見返り」になりかねない。
 経済、軍事両面の強い圧力があればこそ、北朝鮮は交渉の場に出てきた点を忘れてはなるまい。
 トランプ氏には、真の非核化の速やかな実現まで、北朝鮮に決して見返りを与えない原則を堅持し、日本など同盟国との緊密な連携を図るよう改めて求めたい。
 マティス米国防長官はシンガポールでの講演で「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が米国の目標だと明言した。これは、ハワイでの日米防衛相会談が確認したように、核を含む大量破壊兵器と、あらゆる弾道ミサイルを北朝鮮に放棄させる、ということでなくてはならない。
 トランプ氏は北朝鮮高官と人権問題を話し合わず、「首脳会談では恐らく取り上げる」と語った。日本による対北支援にも言及したが、拉致問題の全面解決なくして検討はあり得ない。安倍晋三首相は、トランプ氏が拉致問題を取り上げるよう念押しすべきだ。