【主張】日本とベトナム 平和の海へ連携を深めよ - 産経ニュース

【主張】日本とベトナム 平和の海へ連携を深めよ

 法の支配に基づく自由で平和な南シナ海を実現するため、日本がより積極的な役割を果たすよう強い期待感が示されたといえよう。
 安倍晋三首相が来日したベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席と会談し、中国が軍事拠点化を進める南シナ海情勢にそろって懸念を表明し、海洋安全保障での協力を強化することで一致した。
 中国軍は、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に巡航ミサイルなどを配備し、パラセル(西沙)諸島では、爆撃機の発着訓練を実施したと伝えられる。
 岩礁埋め立てに始まった中国の海洋進出はすでに拠点運用の段階にある。米軍は今年3度目の「航行の自由」作戦を実施した。危機感の表れである。厳しい現実を直視しなければならない。
 沿岸国のベトナムは中国の脅威に直接向き合っており、4月には中国船がベトナム漁船に衝突し、沈没させる事件も起きた。
 南シナ海は日本経済を支える重要な海上交通路(シーレーン)でもある。中国の海洋進出は日本の尖閣諸島も脅かしている。
 「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げ、米国などと大きな枠組みで対抗していくことと併せて、関係強化を進めるべきだ。
 ベトナムは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加国であり、高水準の自由貿易圏を目指している。
 戦略的連携を深めることは、中国の拡張主義を抑える上で極めて重要である。
 ベトナムの海洋安全保障について、日本は巡視船の供与のほか、海上自衛隊艦船の寄港などで、関与を深めている。
 加えて大切なのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一員であるベトナムの対中外交を後押ししていくことである。
 南シナ海問題をめぐり、中国は日米など「域外国」の介入を嫌い、対ASEANでは、巨額の援助などで個別に切り崩し、勝手な主張を押し通そうとしている。
 当面の懸念は、紛争防止のためのASEANと中国の「行動規範」の策定過程で、中国が規範の法的拘束力に制限を加え、骨抜きにしてしまうことだ。ベトナムが揺らげば押し切られる。
 クアン氏は南シナ海問題での日本の関与を高く評価している。その思いに応える必要がある。