非正規格差で判決 同一賃金の原則を確かに

主張

 同じ仕事内容なら雇用形態に関係なく同じ賃金を支払うのが「同一労働同一賃金」の原則だ。産業界はより確かなものにしなければならない。

 非正規社員が正社員との賃金格差を是正するよう求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁が不合理な手当の格差は違法とする初判断を示した。

 定年退職後に再雇用された人に対する、賃金格差をめぐる是非も注目されていた。最高裁は給与や手当などを個別に考慮する必要があると指摘した。

 高齢化の進展や人手不足を背景に、政府は高齢者でも働ける環境の整備を進めている。だが、多くの企業で再雇用者には大幅に賃金を減額される実態がある。

 継続雇用をめぐる処遇の公平性について、企業経営者に警鐘が鳴らされたとみるべきだ。

 トラック運転手として働く契約社員の手当について、正社員との格差が労働契約法20条が禁じる「不合理な格差」にあたるかどうかが争われた。通勤手当や給食手当の格差は認められない、と判断された。

 運輸会社に再雇用された運転手の賃金引き下げについては、職務内容や待遇などに応じたものであり、不合理ではないとされた。

 一部の手当の支払いが命じられたものの、一定の勤務期間を終えた後の再雇用という事情を考慮すべきだとの考え方が示された。

 政府が一昨年12月に出した同一労働同一賃金を進める指針案は、各種手当について、雇用形態の違いによる不合理な待遇格差は認められないとしている。判決もこの流れに沿ったものといえる。

 非正規社員は働く人の4割近くに達する。正社員と同じ仕事にあたる非正規社員に対し、通勤などの手当を支払うのは当然である。待遇差を設ける場合は、合理的な説明が求められる。

 また、60歳で定年した人の約8割は、そのまま再雇用で働いている。再雇用者への不合理な待遇格差の是正も欠かせない。

 高齢者も共に社会を支える仕組みをつくるためには、一定の待遇を確保して、働く意欲を高めなければならない。

 衆院を通過した働き方改革関連法案には同一労働同一賃金が盛り込まれ、待遇格差の是正がより厳格に規定されている。

 政府には、この方針の周知徹底を図ることが求められる。