日大フェニックス 学生に部の再生を委ねよ

主張

 日本大アメリカンフットボール部「フェニックス」は甲子園ボウル21回の優勝を誇る名門中の名門である。斬新なフォーメーションの導入などで競技を牽引(けんいん)してきた。

 だがチームは、一度死んだのである。大学に自浄能力が見られない以上、学生が自らの手で立て直すべきだ。

 関東学生連盟は29日、「悪質タックル」問題で、日大の内田正人前監督と井上奨前コーチを除名処分とした。悪質な反則を犯した宮川泰介選手と部については今年度シーズンの出場資格停止としたが、再発防止策の策定やチームの組織改革などを条件に処分解除の可能性も残した。

 当事者を含む日大のコーチ、選手、対戦相手の関西学院大関係者ら約20人から聞き取り調査を行った学連は、「反則の指示はしていない」とする内田氏の主張を全否定し、指導者失格と断じた。

 さらに衝撃的だったのは「白い物も内田氏が黒といえば黒」「どんな理不尽でも『はい』と答えるのが内田フェニックスの掟(おきて)だった」といった関係者の証言である。異常な上意下達による支配構造が生んだ「事件」であったことは疑いようもない。

 同じ日、大塚吉兵衛学長は日大公式サイトで、企業などの採用担当者に「従前と変わらぬご高配」を要望し、学生に向けては「臆することなく引き続き就職活動に励んでください」と呼びかけた。

 大塚氏は先の会見で、内田氏の指示などについて「第三者委員会に任せている」と繰り返したが、当の委員会は設置すらされていない。第三者委員会が時間稼ぎのための口実なら、部の復活も大学の信用回復も遠のくばかりである。企業や学生に呼びかける前にやるべきことがあるだろう。

 現役部員も同じ日、声明を発表した。「監督、コーチの指示に盲目的に従ってきた」ふがいなさを反省し、「部全体が生まれ変わる必要があること」の自覚を訴えている。彼らに部の再生を委ねるべきである。

 大学は、彼らの邪魔をしてはならない。具体的には、部と学内に絶大な権限を持つ内田氏の影響力を排することである。

 声明は、「アメフットが好きではなくなった」と退部を決意している宮川選手の復帰も願っている。その説得の大きな責任は、現役部員全員が負う。