高齢者の事故 免許年齢に上限の導入を

主張

 神奈川県茅ケ崎市で28日、90歳の女性が運転する乗用車が交差点で歩行者4人をはね、死傷させた。高齢者の運転による深刻な事故が後を絶たない。被害者にとってはもちろん、加害者にとっても悲劇である。

 運転免許返納の仕組みを、真剣に検討しなくてはならない。

 自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で逮捕された女性は「赤信号と分かっていたが、歩行者がいないと思い、行けると思った」などと話しているという。

 女性は3月に免許更新するため、昨年12月に認知機能検査を受けたが、問題なかったという。

 平成29年に施行された改正道路交通法で、75歳以上の運転手は3年ごとの免許更新時の認知機能検査で認知症の恐れがあると判断された場合、医師の診断が義務化された。認知症と診断されれば運転免許取り消しの処分になる。

 今年1月には、前橋市で85歳の高齢男性が運転する乗用車が登校中の女子高校生2人をはねた。皮肉なことに、この男性も前年の認知機能検査で認知症ではないとされていた。

 認知症は、高齢運転者の事故の主たる要因ではあるが、全てではない。高齢に伴う運転技能の低下では、動体視力や反射神経の衰えなども事故に直結する。認知機能検査だけでは事故を防げない。

 警察庁や各自治体は高齢者に運転免許の自主返納を呼びかけ、返納者にタクシーの割引制度や路線バスの乗車券を配布するなどの特典を付与している。

 警察庁によると、29年の75歳以上の返納者数は25万3937人を数え、10年の返納制度導入以降で最多だったという。

 だが自主返納には限界がある。家族の説得に応じない頑固な高齢者も多い。地域によっては、生活手段として免許を手放し難い事情もあろう。

 それでも、社会の安全を守るため、高齢運転者自身を事故から守るためにも、一定の年齢で一律に運転免許の返納、取り消しを求められる措置を導入すべきである。免許取得年齢に下限がある以上、上限があってもいいはずだ。

 公共交通網の整備や自動運転技術の開発も急ぎたいが、これを待つ間にも事故は起きる。

 社会の高齢化は今後も進む。運転免許の強制返納の検討は、喫緊の課題である。