競泳でドーピング 自らを守る厳しさ必要だ

主張

 2020年東京五輪を「クリーンな大会」として開けるのだろうか。大いに疑問である。

 今夏のアジア大会代表に選ばれた競泳男子の古賀淳也が、今年3月のドーピング検査で陽性反応を指摘され、代表を取り消された。

 競泳では昨年9月に大学生が違反したばかりだ。日本水泳連盟には危機感が乏しすぎないか。

 古賀は16年リオデジャネイロ五輪代表で、09年の世界選手権では100メートル背泳ぎで金メダルを獲得した。世界的な選手の違反に衝撃は大きい。

 ドーピングを日本スポーツ界への差し迫った危機と受け止め、各競技団体も対策を急ぐべきだ。

 古賀の代理人は、食生活改善のために摂取したサプリメントに禁止薬物が含まれていた疑いがあると指摘する。この四半世紀で、競技現場のサプリ依存度は飛躍的に高まった。古賀も多いときで5種類を併用したと聞いて驚く。

 体づくりに必要な栄養を、健康補助食品で補うことは否定しないが、口に入れる以上は自己責任が伴う。インターネットでモノが簡単に手に入るようになり、玉石混交の中から安全な製品を選ぶ目も養わなければならない。

 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は「本当に必要なのかを自問し、信頼できるスタッフに相談するなど細心の注意を払ってほしい」と警鐘を鳴らす。体のために摂取するつもりでも、非常に高いリスクを負っている。そのことを選手は自覚してほしい。

 日本水連は近く、代表選手が使うサプリの調査を行うという。製品の安全性だけでなく、製造元や流通ルートの信頼性など、現場に正しい情報を提供するのは競技団体の役目だろう。

 平昌五輪では、スピードスケート・ショートトラックの男子選手が「ドーピング第1号」となり、カヌーでは、ライバル選手の飲料に禁止薬物を混入する信じ難い事案があった。カヌーの場合、競技団体が飲料を管理し、あるいは被害選手が開封済みの不審な飲料に口をつけなければ防げた。

 海外では初歩とされるルールが浸透していない。

 「日本勢にかぎって」という根拠のない思い込みが、現場の緊張感をそいでいないか。ドーピングで傷つくのは選手であり、日本スポーツ界の信用である。