【主張】2040年 持続可能な社会保障築け - 産経ニュース

【主張】2040年 持続可能な社会保障築け

 高齢者数がピークに近づく2040年度の社会保障給付費の推計を、政府が初めて公表した。
 医療や介護、年金など給付費の総額は18年度の約121兆円から1・6倍も膨らみ、約190兆円となる。
 消費税率10%への引き上げを含む社会保障・税一体改革は、団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」に対応するためのものだ。それとは別の改革に、着手しなければならない。
 高齢者がほぼ3人に1人の割合となる40年頃までに、残された時間は25年を切っている。社会保障の持続可能性に関わる。安倍晋三首相は直ちに有識者会議を立ち上げ、取り組んでもらいたい。
 2025年問題に対応するための改革ですら歩みは遅い。各政党は急ピッチで議論すべきだ。
 高齢者が増える一方で、勤労世代は急速に減っていく。このままでは、税金や保険料の大幅な引き上げが避けられない。
 給付の見直しと併せて、財源をどこに求めるかを考えなければならない。消費税率10%以上への引き上げについても、検討を始めるときである。
 政府は40年度の医療福祉分野の就業者数も試算している。医療は18年度から19万人増の328万人、介護は171万人増の505万人で、その他の福祉分野を合わせると、1065万人が就業することが必要だと見込んでいる。
 健康寿命の延伸やIT活用などの生産性向上によって、この要員増を多少は抑制できるだろう。
 しかし、少子高齢化で日本全体の就業者数が900万人以上減る見通しになっている。医療福祉分野だけ、政府が見込んでいる就業者数を確保するというのは現実的でない。
 外国人労働者の活用拡大を求める声はあるが、他国も介護人材を求めており、限界がある。
 こうした事情を踏まえれば、高齢者が一定のエリアに集まり住むなど、多面的な政策を組み合わせて対応していくしかなかろう。
 40年頃には高齢者の1人暮らしがさらに増え、社会状況は今とは大きく異なってくる。
 国民の「住まい方」を見つめ直し、若い頃から生活習慣の改善に励み健康を維持することも欠かせない。これまでの社会保障政策の枠組みにとらわれない発想が、求められている。