【主張】米国の輸入車関税 一方的措置は認められぬ - 産経ニュース

【主張】米国の輸入車関税 一方的措置は認められぬ

 トランプ米大統領がロス商務長官に自動車・同部品の輸入制限策を検討するよう指示した。これを受け、商務省は輸入増が安全保障上の脅威にあたるかどうか調べる。
 先に日本製を含む鉄鋼・アルミニウムに高関税を課したのと同様、米通商拡大法232条に基づく行動である。
 米紙は、トランプ政権が自動車に25%の関税を課すことを検討していることも報じている。自国のみの判断に基づく一方的措置となるなら断じて認められない。
 他国への恫喝(どうかつ)を自動車分野にも広げるつもりなのか。貿易赤字削減のため、国際社会の批判は意に介さない。同盟国ですら標的にし、揺さぶりをかける取引外交には、目に余るものがある。
 世耕弘成経済産業相は「世界の市場を混乱させる。世界貿易機関(WTO)の多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねず、大変遺憾だ」と述べた。当然である。
 安倍晋三政権は理のない措置に至ってはならないと、米国を説くべきだ。それでも不毛な摩擦を辞さないなら、国際ルールに基づく対抗措置を取る意思を、明確に伝えておく必要がある。
 トランプ氏は声明で「自動車のような中核産業は国力の観点から死活的に重要だ」と指摘した。
 調査によって安全保障の脅威と判断されれば、トランプ氏は商務省勧告に基づき、輸入制限策を発動できる。
 鉄鋼などの輸入制限では、すでに同盟国の日本まで対象に含めている。自動車輸入をめぐり安全保障を持ち出すことには、改めて強い違和感をぬぐえない。赤字削減のためには、理由などどうでもよいと言わんばかりである。
 米国が日本車に課している現行関税は2・5%だ。大幅な引き上げは日本企業に打撃となるが、同時に、輸入車の価格上昇で米国消費者も不利益を被る。それをどれほど認識しているのだろう。
 トランプ氏は秋の中間選挙に向けて、自国優位の貿易交渉を進めていると誇示したいのだろう。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉や日本との貿易協議の交渉材料とする思惑もうかがえる。
 鉄鋼問題で、日本は対抗する関税引き上げを準備しているとWTOに通知した。WTOへの提訴も検討すべきだろう。鉄から自動車に飛び火させないためにも、的確な対応が欠かせない。