デモ参加者に襲いかかるコサック ロシアに漂う危険な兆候

赤の広場で

 プーチン・ロシア大統領の4期目就任を前にした今月5日、モスクワなど各地で反政権デモが行われ、1600人以上が治安当局に一時拘束された。これ自体は、近年のロシアでは驚くニュースではない。モスクワのデモ現場に独自の制服を着た100人近くの「コサック」が現れ、革のむちでデモ参加者に襲いかかったことが衝撃的だった。

 コサックは15世紀以降、ロシアの農奴制を逃れた農民や没落貴族が、南部など辺境で形成した独特の軍事集団。18世紀以降は、帝政がコサックの自治を剥奪して従属させ、辺境防備や領土拡張の先兵、民衆運動の鎮圧を担わせた。

 1917年のロシア革命後、コサックは内戦で反共産側につき、ソ連政権によって解体された。しかし、ソ連末期に復興運動が起き、今日では約65万人がコサックの末裔を自任して公認・非公認の団体に属しているとされる。

 その多くは帝政時代の領土回復や露正教の信奉を理念とし、プーチン政権はコサックとの関係を深めてきた。コサックの一部は2014年のウクライナ東部紛争に出兵しており、武器も多く保有している。

 モスクワのデモにコサックが介入したことは、「国家による暴力(治安維持機能)独占」の原則にも反する、危険な兆候だと思われてならない。(遠藤良介)