加計新文書 重要法案と分けて解明を

主張

 「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題で、今度は、愛媛県が国会へ新たに提出した文書と安倍晋三首相の言い分が真っ向から食い違った。

 柳瀬唯夫元首相秘書官が、県職員らとの面会について県文書の記載と異なる説明をして参考人招致されたばかりだ。異例の事態の連続に与党からも当惑の声が漏れる。

 県の新文書には、平成27年2月25日に加計孝太郎学園理事長が首相と面会した際、獣医学部の新設を説明し、首相が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とコメントしたとある。

 首相は衆院本会議で面会を否定し、「(加計氏とは)これまで何度もお目にかかっているが、獣医学部の新設について話をしたことはない」と述べた。

 首相と県文書のどちらかが、事実を語っていないことになる。

 首相が正しければ、国政が混乱させられたことになる。県文書が事実なら、獣医学部新設の構想を知ったのは29年1月20日とした首相自身の国会答弁などが食言だったことになる。

 与党には「首相の発言を信頼し、支持する」(二階俊博自民党幹事長)との声や、県の文書が伝聞に基づくとの指摘がある。野党は「首相の進退が問われる重大な局面を迎えた」(福山哲郎立憲民主党幹事長)と、対決姿勢を強めている。

 首相や政府関係者は国会で真摯(しんし)に説明を尽くしてもらいたい。追及する野党側もさらなる論拠を示すべきである。野党は加計、柳瀬両氏の証人喚問や中村時広愛媛県知事の参考人招致を求めている。加計氏の国会招致に加え、獣医学部誘致の実務に当たった加計学園や県、今治市の職員から話を聞くのが順当だろう。

 忘れてはならないのは、政府と国会が国民の生命と生活に関わる重要課題を抱えている点だ。

 今国会の会期末まで1カ月を切った。働き方改革関連法案や国民投票法改正案など重要法案の成立を図りたい。日本は今、北朝鮮問題で正念場を迎えている。6月の先進7カ国(G7)首脳会議や米朝首脳会談に向け、外交にも全力で取り組むときだ。

 県文書をめぐる解明と国政の重要課題は並行して進めなければならない。その点で、日本維新の会が唱える特別委員会の新設は検討に値する。