タックルに被害届 まずは真相解明に努めよ

主張

 アメリカンフットボールの定期戦で日大選手の悪質なタックルにより負傷した関西学院大選手と家族が、警察に被害届を提出した。

 タックルは関学選手がパスを出した後、プレーが止まり、無防備の状態の背後から襲った。

 プレータイム中の事故とはいえず、暴行や傷害の罪が問われても、おかしくはない。故意性や監督の指示について日大側に徹底調査への真摯(しんし)な姿勢がみられない以上、被害届の提出は十分に理解できる。

 捜査に着手するならその目的は加害選手を罰することではなく、なぜ反則行為が行われたのか、その解明に向けられるべきである。もちろん真相解明の責任は依然、日大側にあり、捜査を理由とする説明の忌避は許されない。

 日大の内田正人前監督はすでに関学側と被害者家族に謝罪し、監督を辞任したが、悪質プレーの指示の有無については明言しない。

 日大側は「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きたことが今回の問題の本質」とも説明している。あくまで「選手が悪い」ということだ。このままでは加害選手一人が罪に問われることになる。

 関学アメフット部の小野宏ディレクターは「なぜ昨年の甲子園ボウルや今春の試合でルールの範囲内でプレーをしていた選手が、突然このような意図的で危険かつ悪質な行為に及んだのか」と日大側に具体的な回答を求めている。

 知りたいのは、まさにこの一点である。日大現役部員の一人は本紙の取材に「僕らは本当のことを分かっているので、コーチの説明に納得できない。怒っている部員はいっぱいいる」と明かした。

 何があったのか。加害選手が自ら詳細な経緯を語ることも必要だろう。監督らに悪質なプレーを強要されたなら、彼もまた一面の被害者である。

 内田前監督は、加害選手について「早く資格を回復し、試合に出られる立場にしてもらいたい」と述べながら、悪質プレーの指示については「調査してから回答する」と述べるばかりだ。自身の言動についての回答に、調査結果を待つ必要はない。自らの沈黙が選手を追い込んでいる事実に気づかないわけはあるまい。

 他者を傷つけ、自軍の選手を守らない監督やチーム、学生を守らない大学の存在が、なんとも腹立たしくてならないのだ。