【主張】海洋基本計画 実行への政治力発揮せよ - 産経ニュース

【主張】海洋基本計画 実行への政治力発揮せよ

 今後5年間の海洋政策の指針となる、新しい海洋基本計画が閣議決定された。
 領海および排他的経済水域(EEZ)を合わせた「日本の海」は、世界6位の広さを誇る。
 内外の海を守り活用していくことが、いかに重要かを改めて考えたい。政府は計画に基づく政策の実行に全力を尽くすべきだ。
 第3期となる計画では、安全保障を前面に押し出した。昨今の日本を取り巻く情勢に応じた妥当な対応である。
 北朝鮮による日本のEEZへの弾道ミサイル発射、北朝鮮籍とみられる不審船の漂流・漂着が相次ぎ、日本海沿岸住民の不安は消えない。沖縄県の尖閣諸島周辺では、中国公船の領海侵入が常態となった。
 中国、韓国など外国漁船の違法操業や、日本の同意を得ない中国公船による海洋調査など、国益を脅かす課題に迅速に対処しなければならない。
 計画は「海洋状況把握(MDA)」の能力強化を明記した。MDAは、2001年の米中枢同時テロを機に米国が取り組みを始めた。自衛隊や海上保安庁、水産庁による情報収集に加え、米国など各国政府、関係諸機関との情報共有が不可欠である。
 安倍晋三首相は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を提唱する。先週末、福島県いわき市で開かれた「太平洋・島サミット」は、中国からの援助攻勢をうける太平洋島嶼(とうしょ)国の対中傾斜に歯止めをかけるねらいもあった。従来の防災や環境分野での協力に加え、安全保障分野でも一体感を醸成していきたい。
 海洋資源の開発により、新たな産業創出が期待できる。同時に、開発と背中合わせの環境保全を図ることは、資源活用の永続性につながる。
 海との関わりなしに日本の繁栄は保てない。海洋教育による海への理解促進と人材の育成は、少子化の中でも力を入れたい。
 海をめぐる政策推進の中核である総合海洋政策本部は、安倍首相が本部長を務めるが、手足となる専属官庁はなく、政策の実行は、各省庁に任されている。
 計画をかけ声倒れにしてはならない。必要な予算と人員をどのように用意するか、首相と各閣僚は、計画遂行に責任をもってあたってもらいたい。